第二話 閃光の刃
突如としてそれは起こった。視界が暗転し、意識が朦朧とするこの前兆には既視感を感じた。それもそうかと思って視界を広げると俺は再びこの異世界に来ていた。この二の世界に生きていたもう一人の僕が死んだようだ。
そして朦朧とした意識を徐々に取り戻し、周りの状況を確認しようとしたその時、俺の視界は白くその刀身を光らせる刀に覆われてた。
すぐに俺は理解した。死を。
「あちょ…死ぬ…!?」
その瞬間、少し感覚がふわりとしたかと思えば…俺は空に打ち上げられていた。そして俺の首を掴んだ手の元手を探せば、その先にいたのはジェスターだった。
俺はジェスターに命を救われたのだ。
「あのあの(╹◡╹)…もう少し避けようとする意識はないのかなʅ(◞‿◟)ʃ」
相変わらずの口調に多少の不快感を覚えながらも俺は反論した。
「いや、あんなのどうやって対応しろって言うんだよ!?」
俺がその言葉の続きを言おうとした時、それを断ち切るようにして光の刃が俺の前を通った。
その刃を放ったのは他でもない、さっきもう一人の僕を殺したであろう人物、そして俺を殺そうとした人物である。
和服を身に纏い、鞘を腰にかけて日本刀を両手でしっかりと握る様は正にジャパニーズを彷彿とさせる。
どうやらその人物は今大分苛立っているらしい。
「おのれ…わしを無視して呑気に話し合いとは実に不愉快だとは思わぬか?…のぉ?道化」
「そんなに怒らないでよ武士様…より一層シワが増えますぞ?」
やや煽るようにしてジェスターが武士様の方言に似せて言うと、武士様は眉をピクリと動かした。間違いなくキレている。何を言っているか理解できない花河を置いて、彼らは平然と会話をする。
「戯言を…」
「え?そこは笑止!…って言うんじゃないの?」
「少しも面白くない!この世から去れ!道化!!」
ジェスターの煽り言葉に耐えられなくなったのか、武士様は顔を怒りで赤らめて微かに唇を震わせながらそう大声で叫んだ。
そうすると、突如空が暗くなったかと思えば稲妻が武士の元へと落ちた。その時に発せられた轟音は耳が千切れそうな程にうるさかった。
だからそんな稲妻に当たった武士の生存はあり得ない。
はずなのだが…。
閃光に塞がれた視界を徐々に取り戻していくと…そこには雷を纏った刀を持ち、雷を打たれたのにも関わらず全く外傷がない武士がいた。
それが何によるもので…どういう原因で無事なのかは知らないが、間違いなく言える。そして酷く痛感する。
これは異端だ。俺はやばい世界に足を踏み入れたのだと…俺はその時やっとそれを理解したのだ。
現実世界に失望して、人生を諦め、ただ毎日同じことを繰り返して来た。
だが、そんな俺を変えてくれたのは異世界。異世界という名の幻想世界が俺に希望を持たせてくれた。
そしてそれが叶ったのだ。嬉しく感じない訳がない。
でも、実際にこの異世界に足を踏み入れてみれば…。結局…。
「やばっ…死ぬ…!」
俺は相変わらず何も出来なくて現実逃避するしか出来ない馬鹿野郎なんだ。
「感じよ…」
突如としてその声が聞こえた。その声が聞こえたその瞬間。まるで時が止まったかのように周りの人間が動きを止めた。
そして声は言う。
「貴様の中にある心を…。手に入れろ…神に抗う三心の力を…」
「時を戻す力を!」
瞬時に理解する。俺が手に入れたこの力の扱い方を。
「
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