黒猫にオイと呼ばれた日

@meganesense

創作短歌20首 黒猫にオイと呼ばれた日

1.黒猫にオイと呼ばれたその日から俺の世界はズレてしまった


2. もう少しだったのにぃと消えるのが幽霊たちの流行りらしいな


3. 坂道を登っていった朝焼けに半透明のスケートボード


4.放課後にこっくりさんを呼び出して呼び出してあれどうなったっけ


5. 月明かり障子に映る蜘蛛の影守り神だと祖母から聞いた


6. むせ返る暑さの中に立つソレはどうやら人が嫌いな様子


7.幽霊を見たくてここに来たんでしょその幽霊が僕なんですよ


8.本当に恐ろしいのは人間でその人間が幽霊になる


9. カーテンの向こうに誰か立っているだけれどここは俺の部屋です


10. ばあちゃんの幽霊ならば会いたいがやってくるのは他人ばかりだ


11. タクシーのドアが開いて白っぽい何かを乗せて走り始めた


12. 幽霊を信じていないその人は自分の死すら信じていない


13. すぐそこに赤い男がいるでしょうもっとよく見てもっとよく見て


14.ぼんやりと裏手の墓地に目をやれば知らぬ女が手を振っていた


15. 夜行バスみんなスマホを見ているが隣の人は俺を見ている


16. 友人が目には見えない飼い猫と幸せそうに暮らしています


17. コンビニでアイスを買うと言った君ずっと空き地に佇んでいる


18.地下道を歩く俺らを軽快な足音だけが追い抜いていく


19. 夏の夜幼馴染が化けて出た金を返すと笑って消えた


20.幽霊はただそこにいて俺たちもただここにいて違いはないな

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