第33話 帰ろう ナナ視点
アレス君たちが村の中に入っていった。彼らには探したいものがあったらしい。
「あいつらだけで村の中に入らせていいのか」
ゴンザレスさんが聞いてきた。すると後ろで倒れ込んでいるペドロさんが話しかけてきた。
「いいんだよ。あいつらには今の村の状況を見せてやろう。俺たちはあいつらを見守ろう」
ペドロさんの声は少し悲しそうだった。そうだ。思い出した。彼らの故郷はカザオカ村だった。
私たちが村の入口で待つこと数分後、アレス君たちが戻ってきた。
アレス君たちの目は赤くなっていた。私はアレス君たちに近づくと彼らの肩に手を置いて言った。
「よく頑張ったね。アレス君。エリーちゃん」
「ゴンザレス。おぶってくれ」
「分かったよ」
後ろからペドロさんとゴンザレスさんの声が聞こえた。さらに後ろからギルド職員さんの声がした。
「皆さん。お疲れさまです。後の事は我々に任せてください」
私たちはその言葉を聞きその場所で座ってしばらく休んだ。そうするとギルド職員が声をあげた。
「皆さん。そろそろ帰りますよ」
私たちは立ち上がりカザオカ村に背を向け歩き出した。後ろではアレス君とエリーちゃんが会話をしていた。
「アレス。私たちは生活していけるよね。私たちは生きていけるよね」
「あぁ、大丈夫さ。もしもの時は僕がなんとかしてみせる」
私はアレス君たちに声をかける。
「アレス君。エリーちゃん。帰るよ」
私たちのカザオカ村魔獣掃討作戦は幕を閉じた。私たちはまた明日も生きていく。
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