第31話 魔斬 ペドロ視点
クソ。俺は何をやっているんだ。弟子が戦っている中で何を横たわっているんだ。
巨大な火球が落ちてくる。あれがまともに落ちてくれば俺たちの命はない。
「水魔法を使える人は水魔法で防壁を作ってください!」
とエリーちゃんが言っている。俺も立て。少しでもいいから役に立て。
「「水魔法 ウォーターウォール」」
皆がそう唱えると俺たちを包み込むように水の防壁が作られた。
「早く逃げろ!」
と俺の弟子であるアレスが言っている。みんなは後ろに走って逃げ始めた。
「早く逃げるぞ」
「あんな物は水の防壁だけじゃ防げねぇー」
みんなが逃げる中、アレスが俺の下へ近寄ってきた。
「ペドロ師匠。逃げましょう!」
そう言うとアレスは俺を背負おうとした。だが、アレスでは背負うことができなかった。当然だ。体格が全然違いすぎる。
「ペドロ。大丈夫か!」
その声はゴンザレスの声だった。
「お前の方こそ大丈夫なのか」
「大丈夫だぜ。あちこち傷だらけだけどな。そんなことより早く逃げるぞ」
ゴンザレスは俺を背負おうとした。それを俺は振り払った。
「何してるんだ」
ゴンザレスは言った。すると
「くるぞー!」
超巨大な火球は水の防壁に衝突した。水の防壁はあっという間に蒸発していく。勢いは少し収まっているかもしれないが俺たちを殺せる威力はある。
俺はその超巨大な火球に向かって突っ込んだ。もてる体力を全て使って。このまま火球が衝突すれば数人程度は助かるかもしれない。だが全員は助からない。だから俺は飛び出した。
剣には魔法を斬る技術がある。その技術は剣術の才能があるか、剣術を死ぬほど鍛練した者しか得られない。その技術は「魔斬」と言う。
俺は剣を抜き、落ちてくる超巨大な火球を神眼を使って見る。魔斬には魔法の急所を斬る必要がある。何度も魔斬をしている者であればうっすらとどこを斬れば良いか分かる。だが俺には神眼がある。どこを斬ればよいかがよく分かる。
落ちてくる超巨大な火球の急所に向かって斬り込んだ。
超巨大な火球は左右に一刀両断された。左右に分かれた火球は爆発した。後方にいるみんなには一切火球の爆発は当たっていない。
俺は背中から地面に倒れ込んだ。流石にもう動けない。
空には青空が広がっていた。
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