第4話 お母さん!

村になだれこんだ魔獣は村の人々を次々に襲い始めた。村の中は混沌をきわめた。冒険者たちが必死に抵抗しているがまったく抑えられていない。


「アレス。家に帰らずに急いで村長の家に逃げるよ。村長の家には大きい馬車があるからその馬車で逃げることができるはず」

「分かったよ。お母さん」


僕はお母さんの言葉を聞きお母さんとエリーとエリーのお母さんと一緒に村長の家に向かった。向かっている途中に後方から緑色の体の色をした”なにか”がこちらに走ってきた。


「あれはグリーンゴブリン!」

「急いで走って!」


村長の家に向かっている途中で魔獣に遭遇した。僕たちはグリーンゴブリンに追いかけられている。グリーンゴブリンはゴブリン種の中で最も弱い種であるが普通の村人にとってはグリーンゴブリンでも危険だとお父さんに教わった。


しだいにゴブリンとの距離が近づいてくる。


「アレス、エリーちゃんこれから後ろを振り向かずに村長の家まで走りなさい!」

「エリー元気に生きるのよ」

「何言っているのお母さん」

「走りなさい!」


どこか力強く、だが悲しみもあるようなお母さんの声だった。僕とエリーはお母さんたちに背中を押され走り出した。お母さんたちは僕たちをグリーンゴブリンから逃がすために身代わりになったと分かった。悲しかった。僕は自然と涙がでてきた。僕がお父さんのように強ければお母さんたちを守ることができたのに。僕は後ろを振り向かずに走った。隣で走っているエリーが後ろを振り向こうとした。


「エリー、振り向くな!」


僕は過去で1番声を出したと思う。そうするとエリーは後ろを振り向かずに走った。涙を流しながら。僕は自分の弱さを恥じた。僕が強ければエリーが涙を流すこともなかったのに。


今のぼくには逃げることしか出来なかった。

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