第8話 作られた記憶

「そうだ、三十年前に童貞を卒業するつもりで入ったお店の女の子があんなかんじの女性だったような気がするな」

 と感じた。

 その時、高橋は、意識が三十年前に戻っていた。

 あの日は、新入社員として入って最初のボーナスが出て、

「ボーナスが出るまでに、童貞を卒業できなければ、ボーナスを使って卒業するんだ」

 と、ソープでの卒業を考えていた。

 やはり、高橋のような引っ込み思案の男性にそんな短期間で彼女ができるわけもなく、童貞のままだった。ボーナスを使っての童貞卒業というのは、少し違和感があったが、最初に決めたことだったので、悩むことはない。当時のボーナスからソープというのは、結構な出費かも知れない、

 家電を買えば、壊れるまで利用できるので、十年利用したと思えば、少々高くても損をしたという気にはならないが、ソープでは二時間ほどで数万円が飛んでなくなるのだ、それを思うと、さすがに抵抗があってしかるべきだろう。

 しかし、それよりも、童貞卒業という目的で初めてソープを利用するというのが、どこか情けなかった、確かにどういう人は結構いると聞いていたが、高橋のプライドが許さなかった。

 どちらかというと、プライドは高い方なのだが、妥協するのも早い方だったので、自分では、

「割り切りが早い」

 と、ポジティブに考えていた。

 そもそも、高橋はポジティブシンキングの方なので、違和感を感じても、それは短い間で終わってしまう。

「感じるのも早いが、切り替えるのも早い」

 というのは、自他ともに認めるところがあるのは、高橋にとって、長所だったのだと言ってもいいだろう。

「お客さんは童貞を卒業しにきたんですね?」

 と、さくら嬢に言われ、少しビックリした。

「いや、俺は童貞ではない」

 と言いかけたのだが、なぜか出てきた言葉は、

「はい、そうです」

 という言葉だった。

「素直でよろしい」

 と言って笑うさくら嬢を見つめながら、何かを訴えようとしている高橋に気づいたのか、さくら嬢が言った、

「童貞を卒業していたと思っているんでしょう?」

 と言われ、高橋がビックリしていると、

「あなたの表情が、自分は童貞ではないと言っているのを感じたのよ。でもね、私は数か月前にも、一度同じような人にあったことがあるの、その人も、童貞を卒業したと思っていたんだけどってね。でも、実際にはそうじゃなかったの、どうやら、その人の記憶は作られたものだったようなのよ」

 というではないか。

「えっ? それはどういうこと?」

「人の記憶なんて曖昧なもので、それは、コンピュータのように、機械語で記憶されたものらしいの。コンピュータがどうしてあれだけ早く処理できるかというと、言語が単純だからなのよ。単純なだけに、無数にパターンが損座右する。でもその存在するパターンを組み立てていくと、またそのパターンが集約されて、少し狭まった形になるの。それをピラミッドの形に想像していけば、上にいくほど狭まって行って、答えが見つかるというのよ。だから、それなら真ん中に最初からいて、一気に真上に飛び上がれば、最短距離で行けるでしょう? でもね、そのためには最大限のエネルギーが必要なの。コンピュータが実用化されるようになったのって、そんな理屈じゃないのだろうかって、その人は言っていたわ」

 と、いきなり難しい話になった。

「それが記憶を作られたということと、どういう関係があるの?」

 と高橋がいうと、

「人間が記憶することって、よく考えればすごいことよね? 普通に考えれば、生きている時間の記憶がすべて、自分の中のどこかに収められているわけでしょう? 忘れていることがあるとしても、何かの拍子で思い出す。それは、皆記憶することに何ら疑問を感じていないからなのよ。疑問を感じれば感じるほど、記憶があいまいになってくる。あなたは、人間は年を取るほど記憶があいまいになってくると思っているでしょう? それはきっと記憶装置が飽和状態になるからだって、無意識のうちに思っているからなんじゃないかって思うの。でも私はちょっと違うのよね」

 とさくら嬢は言った。

「どういうことなんだい?」

 興味津々で、高橋は訊いた。

 すると、ニッコリと笑って、余裕を見せながら、

「記憶があいまいになるのは、記憶する機能に、疑問を感じるようになるからなの、それは自分が成長して、記憶に対して疑問を抱くようになるからなのか、それとも、意識があいまいになることを年齢とともに受け入れなければならないという宿命のようなものを感じるからなのか、それはその人それぞれによるのかも知れない。年のせいにしてしまうのは、そんなことを考える自分を否定したいと無意識に感じるからなんじゃないかしら?」

 というのだった。

「どうして、そんなことを思うんだい? 誰かにその発想を埋め込まれたの?」

 と聞くと、

「最初は、似たような話をしてくれた人がいて、その話を半信半疑で聴いていたの。それが今言った、記憶が作られたものだと思っている人だったんだけど、その人がいうには、何かウソなんじゃないかと思うことって、実は重要なことで、その時に感じた感覚が電気となって自分の中に格納されるのよ。それが記憶なんだろうけど、一度自分の中で取り込めるように電気にして格納して、思い出す時に、映像に戻して意識するのが、記憶だというのよね。だって、そのまま取り込もうとすれば、同じ時間だけの莫大で広範囲な記憶装置が必要になるでしょう? でも、この発想はコンピュータ開発の基本概念だったのよ。そのことが分かっていないと、記憶が作られたという発想は、永遠に理解できないものであり、コンピュータも生まれなかったんだって思うのよ」

 とさくら嬢は言った。

 この言葉、さくら嬢の口から直接聞いていたのに、何か別の人から聞かされているような気がした。

 その人物が誰なのか、全然分からなかったが、次第に気持ちに余裕のようなものが出てくると、

「なるほど、そういうことか」

 と感じた。

 理由は分からないが、誰が言っていた言葉なのか分かった気がした。

「なんだ、あの言葉は俺が言った言葉じゃなうか。確か、この発想に酔ってしまって誰かに話をした記憶があるんだけど、誰にだったかな?」

 と考えたが、それがなかなか思い出せなかった。

 それをなぜ、三十年後の未来で、ソープ嬢から教えられることになるのか、それも、不可思議であった、

 だが、この発想が不可思議ではないという発想を、高橋はすぐに感じた。

「そっか、この話が大学研究員の中では定説になっていて、僕の説が今の世にも受け継がれているのだとすれば、嬉しい気がするな」

 と感じた。

「それにね、このお話は、このお店でキャストをしている他の女の子も知っていたのよ」

 というではないか?

「どういうこと?」

「普通は、こういうお店では、キャスト同士が話をすることも店で出会うこともあまりないのよ。だけど私は一人の女の子とこのお店に入る前も知り合いで、時々一緒にご飯を食べたりしているの。一度私がこの話をした時、彼女も、その話なら私も聞いたわよというのよね、それを誰から聞いたのかって聞くと、お客さんなんだけど、誰だったか、思い出せないんだって。私と同じだというと、二人で、顔を見合わせて、その時はこの話はこれで終わったのよ」

 と、彼女は言った。

「そのキャストというのは? 差し支えなければ教えてくれる?」

 と半信半疑で聴いてみたが、

「あすなさんというキャストなんだけどね」

 というではないか。

 ここでもあすな嬢が関わってきた。この店が急に広い店に感じられた。本来なら狭く感じるはずなのに、おかしな感覚だった。

「記憶が機械によって作られたという感覚は、誰にでも思いつきそうで、実は誰かがそれを言い出さない限り、そういう感覚にならないのだから、やっぱり、最初に言い出した人が間違いなく最初に発想した人なのね、でも、ある程度までは他の人も行きついていたとすれば、後から、自分も考えていたという錯覚に陥ることも無理のないことなのかも知れない」

 と、高橋がいうと、

「でも、そうなると、過去のことが記憶というのであれば、未来に起こることは予言でしょう? 当たる当たらないは別にして、記憶が作られたものだとするのなら、予言というのももっとあってもいいと思うのよ。私は未来のことは分からないという意識があるから、予言なんてできないと思っているけど、皆同じ考えなのかしら?」

 と、さくら嬢は言った。

「僕もさくらさんと同じ感覚なんだけど、確かに予言をする人がもっといてもいいような気がする。でも、今までの歴史から、予言をすることは、まるで神の領域を侵しているかのようで、嫌う人が多かったという意識がある、それは本当は神という存在を使って、誰かに先のことを予言されると困る人がいて、その人が予言をあまり信じないように、予言者を悪魔の使いのような扱いにしているのかも知れない。予言が当たったのかどうかなど、予言を封じ込めてしまえばいくらでも封じ込められるでしょう? でも、たまに予言を公表し、当たらなければ、ウソつき呼ばわりし、当たってしまうと、その力を悪魔の力であるかのように言って、その人を迫害するということを定期的に行っていれば、予言をすることでどんな目に遭うかを示しておくことで、世間をミスリードできると思っているのかも知れないですね」

 と、高橋は言った。

「なるほど、歴史的に予言者の運命は、たいてい悲惨な目に遭っていますよね。それを思うと、今のお話も納得できる気がします」

 と、さくら嬢も感心したように言った。

「でも、記憶と予言って、相対的なものなんだろうか? たとえば、短所と長所って、相対的に思えるんだけど、でも、よく言われるのは、長所と短所は紙一重という言葉でしょう? 記憶と予言も、そういう意味では紙一重にも思うし、元々、発想は同じところから来ているのかも知れないよね? 過去と未来という前提が相対的だというだけのことでね」

 と、高橋は言った。

「じゃあ、記憶から予言が形成される場合もあるっていうことなのかしら?」

「そうかも知れないよ。中には本当に未来のことが分かる人もいたかも知れないけど、過去の記憶が他の人に比べて著しく強い人であれば、そこから未来を割り出して、本人は予言ではないけど、そうなればいいという程度に言ったことが、本当に的中したので、それでまわりが騒ぎだして、予言ということにされてしまったのかも知れない」

「逆転の発想ということね」

「うん、そうなんだ。でも、僕は一つ気になったのが、どうして君は僕がまだ童貞だって分かったんだい? 雰囲気なのかな? それとも素振り? 素振りだとすれば、まだここで出会って数分しか経っていないのに、なぜなんだろうってね?」

 と高橋が聞くと、

「うん、それに関しては私も自信があったわけではないの。ひょっとすると、かつてお店で童貞を失うつもりできていたとして、その人がお店でトラウマになったとしましょうか? それで、好きになった付き合おうと思った女の子がいたとして、その子としようとして、寸前になってトラウマが出てきて、できなかったとしましょう。実際にそういう人は多いのよ。それを克服しようとするには、同じ環境にもう一度自分の身を置く必要がある。そこで克服できなければいけないという治療法があるらしいの、本当なら同じ相手がいいんでしょうけど、いきなり同じ相手はハードルが高すぎるでしょう? だったら、同じ風俗のお店のキャストが相手だという環境に持っていくことで、克服することができれば、晴れて、トラウマ克服に一歩近づけるんじゃないかと思っているんじゃないでしょうか? 私はそんな人を見抜く力があるようで、ひょっとすると、お客さんもそうなんじゃないかと思ったんですが、違いました?」

 とさくら嬢に訊かれて、

「それは残念ながら違いますね。僕にはトラウマはないんだけど、でもおかしいんですよ。確かに記憶の中では童貞を卒業したという意識があるのに、身体が覚えていなかったんですよ、途中までは女性の身体を懐かしいと、いとおしんでいたつもりだったんだけど、肝心のところで、その懐かしさがなく、却って新鮮さを感じてしまったんです。だから、今は、やはり今日が卒業だったのかな? と思うようにしようかと思ったんですが、自分の記憶がそれを許さない感覚になっているのが気になるんですよね」

 と、高橋は言った。

「私はお客さんの相手をしていて、私も何か懐かしいものを感じたんです。それに恥ずかしいんですが、お仕事なので、今までは割り切っていたつもりだった私が、今日は本当に快感に身体をゆだねたんです、何だろう、快感を貪る時間を素直に感じないと、自分自身に叱られそうな気がしたんです。どういうことなんでしょうね?」

 と、さくら嬢は言った。

「そういえば、さっき、さくらさんは、今わの際で、何か口走ったような気がしたんですが、あれは何だったんですか?」

 と言われたさくらは、

「ああ、これも恥ずかしいんだけど、思わず、お父さんを想像しちゃったの。ごめんなさいね」

 と謝ったが、

「どうして謝るんだい? だってさくらちゃんが僕に対してそう思ってくれたんだろう?」

 という高橋に、

「うん、素直にそう思ったの。私お父さんを知らないのよ。だけど、最近になって聞いたことなんだけど、お母さんもお父さんの記憶がないんだって、ただ、お母さんが昔ソープ嬢をしていたのではないかということが分かったの。昔の写真が出てきたんだけど、ぼかしが入っているので、ハッキリと顔は分からないんだけど、かなり綺麗だったみたい」

 とさくら嬢は言った。

 二人がこんな会話をしているちょうどその時間、国立もこの店を訪れていた。

 国立が贔屓にしているのは、あすな嬢だったのだが、あすなも、国立のことを好きなようだった。

「実はね。僕の知り合いが、今日、この店を訪れているんだ」

 と国立が言うと、

「へえ、そうなんだ。国立さんが紹介してくれたの?」

「うん、さくらさんを指名させたんだけどね」

「私でもよかったのに」

 と言って、あすなが微笑みかけると、

「大丈夫さ、焦ることはない」

 と、国立は言った。

 あすなは、国立の言った、

「焦ることはない」

 という言葉を聞いて、

「近いうちに逢うことになりそうね」

 と感じた。

 それにしても、風俗が好きな国立だったが、国立は別に女に不自由しているわけでもない。かといって、飽きっぽい性格なので、一人の女性だけでは我慢できないというわけでもない。風俗では何人もの女性と逢瀬を交わしたが、あくまでも疑似恋愛だということを分かってのことなので、後腐れがないという意味では、ほとんどの議員が不倫をしている中での風俗通いというのは、見る人によっては、気色が悪いと思われるかも知れないが、倫理上は問題がない部類であろう。

 国立はそもそも不倫というものに興味はなかった。

「人のものを奪うところに背徳感があって、燃えるというのか?」

 とも考えたが、正直一度、恋愛をした相手が旦那もちだったことがあった。

 相手は完全に不倫目的で、この年になるまで独身でいる国立を狙って、言い寄ってきたのだ。

 普段から女性に言い寄られることはなかったのだが、それは国立が女性に対して、相当にストイックに見えたからであって、国立にとっては最初その女性に対して興味はまったくなかったと言ってもいい。

 好みのタイプではなかったのが一番であるが、相手があざとい雰囲気で攻撃してくると、男としては、

「据え膳食わぬは男の恥」

 という気持ちが盛り上がって、一夜を共にしてしまった、

 かなり酔いがまわっていたのもその一つだが、そんなことは言い訳にもならないだろう。

 だが、一度身体を重ねてしまうと、そのオンナは態度が一変した。

「県会議員が不倫なんて、表に出たら、あなたどうなるかしらね?」

 と脅しをかけてくる。

「何が目的だ?」

 というと、

「そうね、お小遣いくれるかしら?」

 と言ってきたので、そのオンナの目的がやっと分かった。

 しかし、そのオンナも相手が悪かった。国立は同時、県議会の中でも中心的なところにいて、スキャンダルはまずかった。しかも、ちょうど彼の入っていた組織には、そういうことを切り抜けるためのエキスパートがいて、最終的にうまく収めてくれた。

「国立さん、今後は気を付けてくださいよ。もう大丈夫だとは思いますが」

 と、国立が元々、女に関して問題を起こすタイプではないことを分かっているだけに、エキスパートの方も、苦笑いをするだけだった。

 しかし、当の国立の方は、恐縮してしまい、

「二度とこんなバカなことはしない」

 と心に決めていた。

 風俗に通い始めたのも、その頃からで、精神的なストレスが身体に直結していることに気づかなかったことが、余計なトラブルを招いた原因だということを考えると、風俗の存在意義をいまさらながらに感じ、しかも、記憶に定かではないと思うほど古く、そして遠く感じられるくらいの風俗経験がよみがえってくるようで、通い詰めるようになったのは、きっと、あの時に最初に相手をしてくれた女性を思い出したくて通っているようなものだった。

 店も、女の子の名前も覚えていない。何しろもう、二十五年くらい前の記憶なので、覚えているわけもないかと思ったが、まだ二十五年くらい前の記憶である。何かのきっかけで思い出すのではないか、いや、思い出したいと思うのだ、

 国立は、女性の性格を、顔の雰囲気から想像して、考えるようにしている。だから、自分の好みのタイプの顔は、その表情から性格が分かると思う人であって、どんなに綺麗であろうが、まわりの百人が百人、綺麗だと言っても、

「綺麗なのかも知れないが、僕が好きになることはない」

 と思うのだった、

 どちらかというと、皆が見て、

「どこにでもいるような平凡で目立たない女性」

 という方が国立の好みだった。

 それだけ分かりやすいということなのか、そういう女性は自分の性格を隠そうとして、内に籠るかのように見える。そういう女性の方が、国立にはその人の性格がよく分かるからだった。

 しかも、そういう人に限って、相手も国立のことがよく分かるようで、本当であれば、相思相愛であってもいいと言われるような女性がいてもおかしくなく、今まで結婚できないのをまわりも、

「どうしてなんだろうな?」

 と訝しく思っていたのだ。

 国立にとって、一般の女性が何となくダメなのだと思っていた。それは、あの美人局のような女のやり口に引っかかったことでトラウマになったからではないかと思ったが、そうではなかった。

 実際に、あの美人局オンナとの一夜も、決して心地よいと思っていたわけではなかった。

 どちらかというと、自分が奴隷にされたかのような情けなさがあり、すべてが、

「早く終わらないかな?」

 と思っていた気がした。

 しまいには、一緒にいることさえ億劫に感じられ、酒に酔っていなければ、絶対に相手にしない相手だったはずだとすぐにその後感じ、後悔の念がこみあげてきたものだった。

 しかも、そのオンナが悪党だったなんて……。

 後から思えば、いかにも悪い女という感じではないか、今までなら絶対に引っかからないはずの女なのに、なぜあんなに簡単に引っかかってしまったのか、

「何か薬でも盛られたのか?」

 と感じたほどだった。

 相当時間が経ったあとだったので、クスリの存在を証明することはできなかった。

 しかし、その時にトラウマになったのは確かではあったが、それがセックスに対してのトラウマではなかったことは確かだった。

 女性恐怖症というのも違っていて、熟女恐怖症であったかも知れない。

 そういう意味で、悪い言い方だが、お金さえ払えば、若い女の子と疑似恋愛ができるソープというのはm熟女に騙されてトラウマを負わされた国立のような男には必要なのかも知れない。

 リハビリといえばいいのか、リハビリという言葉を口実に何度か通ったが、次第にのめり込んでいく自分を感じた。

「自分の給料でいくのだから、どこに問題があるというのか」

 開き直りとも言える感覚に、国立はすっかり、風俗愛好家になっていた。

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