第11話 4人パーティー
翌朝、ヴェルフリッツはベッドから起き上がる。
荷物をまとめ、冒険者ギルドに向かった。
あれだけの収入では泊まることはできても食べることはできない。
(今日はきっちり働かないと。)
ヴェルフリッツは気合を入れる。
依頼のボードの前には冒険者の人だかりができており、ヴェルフリッツが依頼ボードの前に来るころには、依頼もかなり少なくなっていた。
Dランクの依頼を探す。
畑の見回りはもちろん張り出されたままだ、よく見ると3人まで募集しているようだ。
庭に出る大イノシシの追い払い<退治してくれればさらに報酬増>
薬草の採取。
輝きキノコの採取。
火吹きトカゲの討伐などがあった。
依頼は基本的に1パーティーにつき1つしか受けられない。
重複して依頼を独占はできないようにするためだ。
ヴェルフリッツは火吹きトカゲの討伐を選び、依頼を受けに行こうとしていた。
すると後ろから誰かに軽く服をつかまれる。
後ろを見るとリーナが立っていた。
「お願いです、また薬草採取に付き合ってくれませんか?」
ヴェルフリッツは考える、このようなことが常態化しては困る。
「お願いします。」
リーナからは焦りが感じられた。
ヴェルフリッツは考える。
実践に慣れてもらってもいいんじゃないだろうか?
「リーナさん、あなたと一緒に薬草の採取には行けません。」
リーナはガクリとうなだれた。
「ですが、代わりに火吹きトカゲの討伐に一緒に行きませんか?」
リーナは驚いたように目を見開いた。
「でも、私戦えなくて。」
「リーナさん。あなたは薬師です、戦闘を薬でサポートできるはずです。」
「ですが、私はまだ新米でヴェルフさんみたいに戦えなくて。」
やはり自信がないのだろう。
「ではパーティーをくみませんか?」
「でもヴェルフさんとパーティーを組んでいますよ?」
リーナは少し不安そうにそう言った。
「いいえ、誰かほかの人もパーティーに参加してもらうんです。」
「それは……」
そうリーナが言いよどんだ。
「では今日は一人で火吹きトカゲの討伐に向かいます。」
「ちょっと待って下さい、分かりました、誰とでもいいのでパーティーを組みましょう。」
リーナは慌てた様子でそう言った。
ヴェルフリッツが待っていると、身軽な恰好で、腰に短剣を身に着けた女の子がこちらへ来る。
「火吹きトカゲの討伐だって?アタシがいれば余裕だから、安心しなさいよね。」
そういってきたのは昨日、ヴェルフリッツから牙ウサギの依頼を寸前のところで取っていった女の子だった。
「あ~‼昨日の~‼」
軽装の女の子はヴェルフリッツを見るなりそう言ってくる。
「それよりも名前を教えてほしいです。僕はヴェルフ。」
「私はリーナ。」
リーナも小さい声でそう言った。
「え?アタシはニッテよろしく。」
元気な印象は受けるがヴェルフリッツはニッテのことは少し苦手な印象を受ける。
「あと一人、誰か来ないでしょうか?」
ヴェルフリッツがそう言うと。
「アタシだけで十分て言ってるじゃん。」
「いいえ、待ちましょう。」
ヴェルフリッツがすかさずそう言った。
「プー。」
すると、ニッテが不満そうにそう言う。
「そんなニッテのことを少し無視していると。」
「こんにちは。」
冒険者の男の子がやってきた。
「僕もパーティーに入れてほしいんだ、お願いできるかな?」
「ええ、是非とも喜んで。僕はヴェルフリッツ、君の名前は?」
「僕はジーン、よろしくお願いします。」
「アタシで十分なんだってば。報酬が減っちゃうじゃない」
「ニッテさん、ならあなただけパーティーから外れてもいいんですよ?」
「いや、アタシも行く。」
ニッテはやや焦った様子でそう言う。
ヴェルフリッツ達は火吹きトカゲの討伐に向かうのだった。
血族の不死者(不死の僕が守るもの) アガクロ @agakuro
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