第185話 竜対竜のぶつかり合い2

『グァアアア!!』


 地竜は石壁を突破しながら、牙をむき出しにしながらエルへと噛みつこうとしてくる。涎を撒き散らしながらこちらに噛みついてくる竜に対して、エルは呪文を唱えて、噛みつかれる予定の鱗を強化する防御魔術を唱えて鱗を強化する。

 そして、わざと隙を作ってそちらに攻撃を誘導、わざと噛みつかせると強化された鱗と竜の牙から、激しい火花が飛び散って地竜は思わず叫びを上げる。

 かみ砕けると思っていたが、予想外に硬い強化された鱗によって自らの鋭い牙を弾き返された地竜は咆哮を挙げながら距離を取ろうとするエルにしがみつこうとしてくる。


『ええい!!おっさんと絡み合う趣味なんてない!!』


 エルは必至になって離れようとするが、そうはさせんと言わんばかりに地竜はエルへとしがみついていく。

 彼はエルへと絡みつきながら、その口から大量の涎を巻き散らしていく。

 その涎がエルの鱗にかかった瞬間、ジュウウウウ!と音を立てながらエルの鱗の一部が解け落ちてしまっていた。

 そう、彼の口から出る涎は強酸性の涎であり、それはエルの鱗すら溶かすほどの威力を秘めていた。だが、エルからしたら相手の涎を浴びせられるなどたまったものではない。嫌悪感を露わにしながら地竜に向かって叫びを上げる。


『クソがぁあああ!!!おっさんの涎をぶっかけるとかマジふざけるなよ!!』


 それに対して思わず切れたエルは、自らの拳の一撃を地竜へと叩き込んでいく。

 さらに、それだけでなく、身を翻して渾身の一撃とも言える強烈な尻尾の一撃を叩き込んで地竜を吹き飛ばす。

 いかに地竜が一回り大きいと言っても渾身の一撃とも言える尻尾の一撃ならば吹き飛ばすことも可能だ。

 森の木々を大量に吹き飛ばしながら尻餅をつく形で離れた部分に叩きつけられた彼は、それでもエルに対して、ブレス代わりの大量の強酸性の唾を吐き出す。

 そんな大量の強酸性の液体(鱗すら溶かす)など浴びればどうなるかは言うまでもない。(そもそも浴びたくない)

 エルはとっさに石壁を作り出し防御するが、涎がかかった石壁はまるで淡い氷が炎で熱せられたように、どろどろと溶け落ちていく。だが、それでもきちんと防壁の役割をこなしてくれたのは事実である。さらにエルは重力魔術をかけて地竜の動きを鈍らせて、空中に作った数十もの石槍を重力投射で高速で撃ちだしていく。

その高速で射出された石槍を防ぐことは難しかったらしく、次々と地竜の鱗を突き破り肉を突き破りながら突き刺さっていく痛みに地竜は悲鳴を上げた。




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独り立ちを強いられたドラゴン、生き延びるために配信者の前でお腹見せゴロンしたら伝説になったようです。 名無しのレイ @rei-rei

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