第184話 竜対竜のぶつかり合い。
王都から少し離れた森の中、そこでは邪魔な木々を薙ぎ倒し、押しのけながら巨体の生物がひたすら前方へと進んでいた。
その正体は竜。エルと同じ竜族の一匹である。
だが、竜族の中でもエリート中のエリートといえる血統であるエルとは異なり、この地竜は知性もほとんどない粗野で乱暴な竜の一匹である。
(そもそもまともな知性のある竜は、エンシェントドラゴンロードの息子なんて厄ネタ中の厄ネタになんて襲い掛かろうとしない)
この地竜は、最近人間に紛れ込んで偉そうにしている奴がいる、と聞いてブン殴ってやろうと考えた、脳みそまで筋肉な竜でしかない。
その地竜は空を飛翔してきながらこちらへと迫りくるエルに対して、咆哮を上げて彼を牽制する。
「ガァアアアアアッ!!(何やワレ!クソガキが生意気な事しくさってからに!ブッ飛ばしてやるぁ!!)」
「グァアアアアアッ!!(うるせぇ黙れ!!ガキにマジ切れとか恥ずかしくないんか!!お前はそのクソガキにボコボコにされるんだよ!!)」
……言語が通じて意思疎通ができても、それが平和に繋がるとは限らない、という事をエルと地竜は見事に表現しながら、森に着地してお互い真正面から睨み合いながら咆哮しあう。
とはいうものの、こちらは血統……魔力などでは比べ物にならないが、見たところ向うは成竜でありまだ幼竜であるこちらに比べたら、純粋な肉弾戦では向こうが有利である。エルが7mほどとすれば、向こうの地竜はおよそ10mほど。大きいは強い。至極シンブルで単純な原理だ。
しかも、成竜であるためか、その全身はまさに筋肉そのものである。真正面からぶつかりあってはエルも大怪我を負う可能性もある。
(ならば……。魔法しかない!!わざわざ真正面からぶつかるかバーカ!!)
真正面から木々を薙ぎ払いながら突っ込んでくる地竜に対して、その前に石壁を展開すると、木々を薙ぎ払いながら地面から盛り上がってせり出されてきた石壁が横一列に展開された。
だが、地竜は真正面からその石壁へと頭から突っ込んできて、その頑丈な石壁にぶち当たり、石壁を粉砕しながら大音響で吠える。
体当たりで自分の展開した石壁を砕いた竜に対して、エルは思わず吐き捨てた。
『この脳筋野郎が……!!ふざけんなよ!』
森の木々を吹き飛ばしながら突っ込んでくる地竜に対して、さらに竜語魔術を使役し、今度は石壁ではなく石で出来た巨大な槍、数十もの石槍を展開し、地面から突き出した槍襖を展開する。だがそれすら吹き飛ばしながらさらに地竜は突っ込んできたのを見ながら、エルはさらに魔術を展開していった。
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