第177話 地竜随伴兵
「進めー!!」
ルーシアやエルたちの会議の結果、まずはとにもかくにも軍事力を高めなくてはならない、という結論に至った。
下手をすればエルがいなくても、反共存派の竜がこの国に殴り込んでくるかもしれないのだ。それに対抗するためには、人間たちも強い武力を持つというのが極めて単純な回答だった。そして、そこで注目されたのが、王都攻略の際に用いられたエル……正確にいうとティフォーネとシュオールの使役竜たちである。
特に注目されたのは、外骨格地竜の方だった。外骨格地竜を使役することで、疑似的な戦車にできないか?というのはエルのアイデアである。
鞍をつけて、エルの鱗を砕いたアクセサリーか何かをつける事によって、外骨格地龍は人間のいうことでも自在に動けるようになる。
その試験運用のため、鞍をつけてエルの鱗の破片を持った騎手たちは、外骨格地竜を操作する訓練を行っていた。
ドドドド!と地鳴りを響かせながら迫りくる地竜に対して、やはり普通の兵士たちは恐れを抱かざるを得ない。
試しに兵士たちとの模擬戦も行ってみたが、銃も弓矢も魔術も全て弾き返し、剣や槍を持った兵士たちを物ともしないのはまさに戦車そのものの威容だ。
(最もやはり騎手を狙われたらどうしようもない、というのは欠点だといえるが)
「うぉおおおお!!すげぇ!!あんな竜が揃って突撃したらまさに無敵だぜ!!城塞が歩いてくるようなモンじゃないか!!」
「バカ、油断するな。それでも騎手を狙われたらおしまいなのには変わりないんだ。ええと竜様の命によると俺たち歩兵が随伴兵になって地竜たちと一緒に戦うの推奨しているらしい。何なら地竜にしがみついて移動しろ、だとさ。」
いわゆる戦車随伴歩兵、タンクデサントである。戦車は視界が狭く、機動や俯角に制限があり、隠蔽状態の歩兵たちを発見しにくい。地竜の騎手は装甲に覆われておらず上から見下ろせるが、それは逆に極めて狙われやすい、ということである。
それら狙撃やら何やらから騎手を守護するために存在するのは、地竜随伴兵であり、今はこれら歩兵と地竜との連携戦術を積み重ねているのである。
(よし、辺境伯軍だけでなく、王都防衛軍にも地竜との連携した戦い方を覚えさせる。地竜は我々人間にとって極めて強大な戦力だ。これを代価として竜様の味方を増やす。地竜は竜様の鱗の破片がなければ使役できない。我々の戦力を増強し、味方を増やし、この国を強くする。我々が生き延びるためにはこれしかないのだ。)
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