第178話 至高神の若手神官。

 そして、地竜やワイバーンたちを戦力へと変化しつつある中、それらに対して真っ向から反対する勢力があった。

 それは、やはりエルたちを目の敵にしている至高神の神殿である。至高神の神官たちは声高にこう言い放った。


「怪物どもを兵力として取り組むなどとは何を考えているのか!!怪物を頼りにするなどとは、この国が怪物どもに乗っ取られる事になるのだぞ!!」


 だが、そんな至高神の神殿の言葉はどこにも響き渡る事はなかった。

 エルはこれら地竜を操る兵士たちや、ワイバーンに乗る竜騎士たちをカッコよく映像にとってそれらを配信で大規模に流していたのである。

 エルの使役竜を駆る竜騎士たちをカッコよくアピールする事によって、王都でのエルのイメージをよりよくするアピールには欠かさなかった。

 王都復興・食料の供給・戦力の供給とエルの力はまさに王都にとって欠かせない存在になり、ますます強く結びついていることは事実だ。

 それに反感を覚えてもどうしようもない状況である事は普通なら理解はできる……だろうが、未だに理解できないのが彼ら至高神の神殿だった。

だが、そう言った上層部の老害に対して、密やかに行動を開始している若い神官たちも存在していたのだ。

とある宿屋の部屋、そこでは至高神の若い神官たちが集まって協議を行っていた。


「上層部は未だ辺境伯側を認めていない。正しいのは我々だ!と思い込んでいる。このままでいいのか?」


「ただでさえ我々は時代から取り残されている状況になっている。時代の流れに取り残される形だ。このままでは我々至高神の信仰は皆から離れてしまう。」


「……上層部は他国の人類至上派と手を結びつつあると聞く。再び内乱のきっかけになったら、我々至高神の信仰はそれこそ地に落ちてしまう。そうなれば、この地の秩序は崩壊しかねないぞ?」


そんな風に若い神官たちの間で話は進んでいく。彼らは上層部に比べて頭が柔らかく、世間一般の流れにも長けている。

そんな彼らからしてみたら、今のままではどんどん人心が離れて行ってしまうのは明らかである。ならば、我々は上層部と異なる独自の行動を取るしかない、と判断したのだ。と、なればやるべき事は一つしかない。


「と、なれば……やはりあちらと接触を図るしかないか?」


「ああ、我々の政治力はたかが知れている。向こうの力を借りて上層部を牽制するしかあるまい。これ以上至高神の神殿の権威を落とすわけにはいかない。いざという時には……。」


その言葉の先を言うことなく彼らは口を閉じて決意の表情を見せた。


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