第155話 隣国の人類至上派(穏健派)
そんな風に何とか共和国は形になっているが、それを虎視眈々と狙っている勢力があった。それは共和国周辺の隣国である。
彼ら隣国は内乱状態にあるアルビオン国を見ながら、チャンスを虎視眈々と狙っていたのだ。何なら王都の混乱時に攻め込んで占拠する動きも見せていたので、エルたちが素早く動かなくてはならかった理由でもある。
そして、その隣国の貴族たちは実際に攻め込む動きを見せていたのだが、それを行わなかったのは、エルが迅速に戦力を移動させたお陰で、王都に攻め込んでも多大な被害が出て占拠も難しい、という理由。
そしてもう一つの大きな理由としては中立派の存在がある。
比較的戦力をそのまま残して保持している王都に近い中立派の存在は、彼らにとっても目障りであると同時に牽制にもなっていた。
恐らく、中立派はこれを意図してあえて軍を動かさなかっただと彼らは考えている。保守派からコウモリ扱いされている中立派も、立派に護国のために役立っていたのは皮肉といえるだろう。会議室の中で隣国の大臣たちはテーブルに座りながら深刻な表情を行いながら今後について話し合っていた。
「むう……。体勢を整えられてしまって攻め込む機会を失ったか……。
まあ、向こうの人類至上派の厄介者どもは始末できたから良しとするべきか……。」
「うむ、データや極めて貴重な竜の脳であるエキドナは回収できた。これだけで十分だろう。無駄に非人道的な行いをする人類至上派の過激派どもも排除できたしな。一石二鳥という奴だ。我々穏健派はゆっくりと勢力を広げていきましょう。」
そう、アルビオン国の人類至上派は一掃できたが、他国ではまだまだ深く根を張っているのが実情である。
そのため、アルビオン国の人類至上派は隣国に逃げ込もうとしたのだが、こんな厄介者どもは断る、となった結果、根切りされてしまったわけである。
だが、これは彼らにとってもありがたいことだった。穏健派である彼らからしてみたら、評判を落として暴走するだけの過激派など目の上のたんこぶ同然。
そんな彼らが手を汚さずに消滅したのだから、実にありがたい限りである。
「とりあえずは……様子見しかないですか。ここで押し潰すこともできますが、わが国にも多大な被害が出る。さらに竜とその後ろにいるエンシェントドラゴンロードがどう動くか読めないからな。」
「できれば竜たちを上手く排除した後で踏みつぶしたい物だが……こちらとしても色々離間の計を仕掛ける必要があるか……。これからアルビオン国の情報を密に集めて対策を練っていくしかないな。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます