第146話 王都帰還
「や、やめろ!!なぜ我々がこんな辱めを受けねばならん!!やはり怪物の力を借りるなど蛮族どもめ!!この蛮族どもに捕らわれるなど一生の屈辱!!」
縄で縛られながら、のろのろと歩いている首脳部の連中を見ながら、兵士たちはそんな彼らを殺気立ちながらこつきまわして、無理矢理前へと進める。
縄で縛られて、乗っていた馬車から降ろされて、馬車に繋がれた縄によって歩き回されるというのは、彼らにとって非常に屈辱的らしい。
そんなまだ現実を分かっていない生意気な奴らを、兵士たちはこつきまわしたり殴り飛ばしていたりする。
ルーシアの許しがあれば、一人や二人ぐらい馬引きの刑やら何やらにしたかったのだが、彼らも必死に我慢しているのである。
そして、そんな風に首脳部を引き付けて王都に帰還したルーシアたちは、救助活動や炊き出しを行っている市民たちに大歓声で迎えられた。
もはや、人類至上派こそが全て悪い、彼らが全ての原因である、とレジスタンスたちを通して全市民たちも知っているからである。
「このクソどもめ!!全部お前らが悪いんだ!!お前たちのせいだ!!」
「そうだそうだ!!お前たちが変なことを企むからこんな事になったんだ!返せ!俺たちの家族を返せ!!返せ!返せ!!」
市民たちは次々と石を投げ、首脳部たちへと浴びせていく。その猛烈な石撃ちは辺境伯軍にも当たりかねないため、必死になって市民たちを押しとどめなければならなかったのである。
「静まれ!この者たちは私の辺境伯家の名をもって処断する!!必ず処刑するのでここは私に任せてほしい!!」
堂々たる声で馬に乗りながらそう言い放つルーシア。その声に、市民たちも渋々とそれを受け入れるが、真っ青になったのは人類至上派の首脳部たちである。
ここに来て、ようやく彼らは自分たちが処刑されるという実感を得たのだった。
「た、頼む!こ、殺さないでくれ!!何でもする!!何でも教えるから!!」
そんな風にすり寄ってくる彼らを殴りつけ、兵士たちは無理矢理瓦礫の山の市内を歩かせていく。その歩いていくたび、凄まじい市民の憎悪の視線が彼らに突き刺さっていく。いわゆる、日本の江戸時代でいう市中引き回しである。だが、そんな彼らを蹴り飛ばしながら兵士たちは前へと進んでいった。
「うるせぇ!!さっさと歩け!!早くしろ!!」
「情報を全部吐いたらきちんと処刑してやる!!安心してさっさと歩け!!これが自業自得って奴だろうが!!」
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