第145話 首脳部捕らわれる。
「早く!早く動かせ!!何を戸惑っているのか!!」
王都から少し離れた街道、そこでは馬車に乗った首脳部の人々がいた。
馬車の中には大量に金銀財宝が詰め込まれており、それによって、故障した馬車は一台立ち往生していた。
大量の非常に重い荷物を内蔵した馬車は耐え切れずに車輪が折れてしまったのだ。
こんなもの見捨ててさっさと先を急ぐべきなのだが、それでも彼らは見捨てられずに立ち往生しているのだ。
「ええい!もういい!!見捨てていくぞ!惜しいが仕方あるまい!これは野盗どもの餌にすればいい!!」
結局彼らはその馬車を見捨てて先を急ぐ事にしたが、その判断は遅すぎた。レギオンによって足止めされている貴重な時間を彼らはドブに捨てる事になったのである。
ようやく動き出してそこから離れた彼らだが、そんなあからさまな証拠を猟犬と化した兵士たちが見逃すはずもなかった。
「いたぞ追え!!絶対に逃がすな!!」
「絶対に殺すな!!生かしたまま捕らえろ!!きちんと国民の前で首を吊るさないとこれから支障が出る!!生かしたままでないと賞金は出さないと通達しろ!!」
ルーシア自身も馬に乗って兵士を率いながらそう指示を出す。本来は弓矢などを射掛けて牽制を行いたいが万が一でも彼らに当たったら困る。
もしかしたらレギオンのように何か隠し玉がないか、と警戒もしたがそんな重いものを抱えている馬車が騎馬隊の機動性に勝てるはずもない。彼らは、実にあっさりと捕まる事になった。
「うぉおお!!捕らえろ捕らえろ!!賞金がいたぞ!!」
「俺たちの金になれ!!貴様ら腐れ人間どもを捕えれば俺たちは英雄になれるんだ!おとなしくしろ!!」
騎馬隊が馬車の前に回り込んで動きを止め、そしてそれに一気に兵士たちが襲い掛かっていく。周囲を固める兵士たちも、もうすでにやる気がなくてさっさと降伏していくか、魔術針で洗脳しているため、まるでゾンビのような動きしかできない。
そして、そんな奴らにやられるほど歴戦の辺境伯軍は柔ではなかった。まさに鎧袖一触と言わんばかりに彼らは敵を殲滅していく。
「いいな!絶対に殺すな!!縄で縛り付けろ!縛り付けたまま王都に引き連れていけ!!」
その言葉と共に、馬車から次々と引き出される人類至上派の首脳部たちは、必死で抗うがその抵抗も空しく、彼らは次々と荒縄で縛り付けられていく。
しかし、それでも彼らは現実を認めることなく高慢な言葉を吐き捨ててさらに兵士たちを激昂させていた。(それでも兵士たちが暴走しないのは流石といえるだろう)
「ふ、ふざけるな!!我々は高貴なる人物だぞ!!こんな屈辱的な事など許されるはずもない!殺せ!!」
縄で縛られている彼らに対して、兵士はそんなセリフをせせら笑いながらこつき回す。(もっとも、それらはルーシアに静止されたが)
「はっ!死にたいんならさっさと舌噛み切って死ねや!!どうせ死ぬ気なんてさらさらないくせに!!きちんと処刑してやるから安心しろ!!」
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