第142話 王都占拠
レギオンを討伐し、王都へと入った辺境伯軍とエルたちを出迎えたのは大歓声………ではなく、助けを求める無数の声だった。
レギオンとワイバーンとの戦いに滅茶苦茶されてしまった王都。無数の破壊された家や建物の下敷きになった人々。レギオンに運よく吹き飛ばされただけの人々。そしてそれらによって怪我をした様々な人々。これらを助けるためには、多大なマンパワーが必要となる。
そのため、辺境伯軍は二手に分かれて、魔術師など治療ができる人間たちを救出部隊にすることにした。
エルもこちらの救助部隊へと参加して、市民たちを助ける手助けを行っていた。
巨大な竜の力はまさに巨大土木作業機械そのもの、いやそれ以上の作業を行うことができる。とはいえ、彼は救助は素人ではあるので、ほかの兵士たちの助言などに従って救助活動などを行っていた。
流石に竜血は大量にエルとの契約者を作り出してしまうため使えないが、それでも土属性が得意である彼は回復魔術もそれなりに上手ではある。
さらに、エル用といえるシュオールの杯で大量の麦を作り出し、それを市民たちにふるまうことによって、彼らの好感度を稼いでいた。
「おお!さすがは竜様に辺境伯様!!このような神の御業を行えるとは………!!」
「あの怪物どもを撃退していただき、さらに食料まで与えていただけるとは………!!ありがたやありがたや………。」
下手をすればエルも王都に襲い掛かってくる怪物扱いされてもおかしくはなかったが、レジスタンスたちがきちんと人類の味方であるときちんと教えていた上に、彼らを守るためにレギオンたちと戦った事、そして救出活動や食料支援も行っているのを間近で見ていれば、怪物どころか救いの神に見えるのは不思議ではないだろう。
王都に残っていた大地母神の神殿とレジスタンスたちと協力しながら炊き出しや治療などを行うことにしたエルは、この王都の人々からもそれなりの敬意は持って敬われるだろう。
そして、もう一方の辺境伯軍が行う事。それは人類至上派の首脳部を捕らえて処刑することである。
再統一してまた新しい国を立ち上げるということになれば、この国をここまで滅茶苦茶にした悪役を正式な裁判にかけて処刑しなければならない。
全部こいつらが悪い!!と全ての悪を押し付ける相手………いや、押し付けるというかそれは全て事実なのだが………を捕らえて引きずり出す必要があるのだ。
兵士たちも次々と降伏していくが、それは些末な出来事にすぎない。彼らは必死になって首脳陣を探し回っていた。
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