第141話 辺境伯軍とエルの勝利。
「アアアアア!!」
辺境伯軍の陣形の猛烈な攻撃によって、足止めをされながら無数の集中砲火を食らったレギオンは、ついに再生能力も追いつかずに、ズン、と地面に倒れ伏す。
それを見ながら、辺境伯軍は大歓声が起こる。あの異形の怪物を竜の力を借りずに我々自身の手だけで倒すことができたのだ。
今までエルに頼るだけの自分たちであったが、自分たちでもできる、やれるということは何よりの彼らの自信へと繋がっていた。
「やった!やったぞ!!俺たちでもできる!やれるんだ!!」
だが、そんな勝利に浮かれている暇は彼らにはなかった。またワイバーンにつられて次々とレギオンがこの陣形内部へと飛び込んできたのだ。
そのレギオンたちに対して、エルはさらに足止めの魔術で彼らを足止めし、そこに我に返った兵士たちが次々に攻撃を叩き込んでいく。
そのほかでは、外骨格地竜たちが次々とレギオンたちに突っ込んでいって、レギオンたちの間を遮断し、孤立させた上でワイバーンたちが無数の雷撃を叩き込むことによって、各個撃破を行っていく。
そして、そうして次々とレギオンを撃滅していくうちに、ついに動いているレギオンは存在しなくなっていった。そう、つまり、エルたちと辺境伯軍の勝利である。
「我々の勝利だ!!皆勝鬨を上げろ!!竜様と我々の勝利である!!」
馬に乗りながら剣を突き上げてそう叫ぶ辺境伯ルーシアの言葉に、軍の皆も一斉に歓声を上げた。人類至上派のクーデターによって王都を占拠され、国を二分された状態。必死に耐えた苦難の戦いの末、ついに全国土、王都奪還を行うことができたのだ。これで感涙しない保守派の人々がいないほうがおかしい。
しかし、そのトップであるルーシアは内心は複雑な気分だった。
(王都は奪還したものの、レギオンのおかげで王都が滅茶苦茶になっている上に死者も多数………。王都を無傷で手に入れられたら最高だったのだが、さすがにそんなに上手くいかなかったが。まあ仕方ない。これから前向きに考えよう。)
確かに彼女の言う通り、王都はレギオンが暴れまわったことにより半壊といっていいほどのボロボロっぷりである。それに加え死者も多数存在するだろう。
それらを救い、街を立て直すためには頭が痛くなるほどの予算が必要になる。
だが、それでもこの国を再統一できたことは喜ばしいことだろう。まずは、ここにまで滅茶苦茶にしてくれた人類至上派に全ての責任を負わせて処刑しなければならない。そう考えながら、彼女は軍を王都の方面へと向けた。
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