第138話 辺境伯軍到着。

『『石壁作成』ッ!!』


 そのエルの言葉に答えるように、レギオンたちの前に石壁が地面からせり出して作成される。しかもそれは一枚だけではない。家などを破壊しながら何十枚も石壁がせり出してきて、市民たちとレギオンの間を防ぐ防御壁へと変化する。

 これで少なくとも足止めはできるはずである。

 実際、レギオンはその防御壁を回避するという知性もない。

 レギオンたちは防御壁に次々と突っ込んでいき、石壁を乗り越えなれなくてじたばたと暴れまわる。そして、さらに後ろのレギオンたちが突っ込んでくるという悪循環である。だが、これで十分足止めはできた。ならば、後は狙い撃ちするだけである。


『今だ!ワイバーンたち狙い撃ちしろ!!』


 それと同時に、ワイバーンたちは飛行しながら一斉に雷撃の吐息でレギオンたちを焼き尽くしていく。足止めを食らった状態での攻撃に対して、回避もできないレギオンたちは黒焦げへと変貌していく。

 だが、生き残ったレギオンたちは、その黒焦げになったレギオンをさらに取り込みながらどんどん巨大へと変貌していく。

 ただでさえ王都に多大な被害が出ているのに、レギオンたちの暴れっぷりや何やらでさらに被害が拡大しているのはどうしようもない。


『クソッ!このままだとさらに被害が出る!どうしたら……!』


 その時、城壁の外から煙……いや、狼煙が立ち上がる。そして、エルの脳裏に自らの鱗を通した魔術通信が響き渡る。


《遅くなった!我々もようやく到着したぞ!城門さえ開けられれば入ることができる!!》


 それは、鱗を通して通信を行ってきた辺境伯ルーシアの声である。彼女たち辺境伯軍は必死の進軍を行うことでようやく王都にまでたどり着くことができたのである。

 これには、王都までの道が整っていたということが非常に大きい。

 それに加えて、ドドドという地鳴りも聞こえてくるということは、シュオールの作り出した使役竜たちも到着したということだ。

 彼らと連携して戦うことができれば、例えレギオンと言えど倒せるはずである。


(ちょっと荷が重いかもしれないが、我だけ戦って戦力を消耗するのも不公平だし………。彼らにも頑張ってもらおう!信じてるぞ!!)


ちょうどよく、レギオンたちは人間よりも魔力の豊富であるワイバーンたちを狙うという本能に沿った行動を取る。

ワイバーンたちを一斉に移動させれば、レギオンたちもそちらについてくるはずである。エルやワイバーンたちはさっそく行動に移ることにした。

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