第134話 城壁での戦い
大気を引き裂きながらの雷撃が幾重にも、迎撃態勢を整えようとした兵士たちに襲い掛かり彼らを粉砕する。
兵士たちの鎧は金属製だったり皮製だったりとまちまちではあるが、雷撃を防げるほどの防御性能は持ち合わせていない。
むしろ、金属製の鎧は雷撃を防ぐところか、そのまま金属に効率よく雷撃が通る事によってより大きいダメージを与えていくくらいである。
これを成したのは、ティフォーネの使役竜であるワイバーンたちである。
彼らはブレスとして雷撃を放てるようティフォーネから調整されており、その威力は人間にとって致命的である。
雷撃を浴びた彼らは、ぷすぷすと黒焦げになったり、火傷で悲鳴を上げながら兵士たちは逃げ惑う。
『よし!ワイバーンたちはそのまま兵士たちを攻撃しろ!体勢を立て直させるな!徹底的に混乱させるんだ!!』
そのエルの指示に答え、ワイバーンたちは宙を舞いながら次々と城壁の歩廊にいる兵士たちに雷撃の攻撃を仕掛けていく。
兵士たちも弓矢などで攻撃を仕掛けていくが、機動性重視のワイバーンたちにはその矢はかすりもしない状況である。
「大砲だ!大砲をもってこい!!あの怪物も大砲さえ当てればどうにかなるはずだ!!」
そんな中、兵士たちは城壁に備え付けの大砲を撃とうと装填を始める。
持ち出してきたのは、機動性重視の小型野戦砲、ファルコネット砲である。
そこに前から火薬や弾を込めて打ち出すという機動性を重視したため、砲台としては小型ではあるが、今はとにかく撃つことを重視するためこれを持ち出したのだ。
だが、そんな悠長な先込めを行っていられるほど、今の状態は安全ではなかった。
危険と見て、ワイバーンたちはその大砲に対して真っ先に雷撃を浴びせかけていく。そして、雷撃の火花により、その大砲は見事に周囲の人間を巻き込みながら暴発したのだった。
「ぎゃあああああ!!」
暴発した大砲や雷撃に巻き込まれ、その辺の兵士たちは見るも無残な事になっているが、気にしている余裕などない。
エルは反重力を形成し、重力の縛りを無視して城壁側面に爪を突き立てて「足場」にしながら、地面と平行の姿になりながら城壁を疾駆していく。
まるでヤモリのように城壁に張り付く形になりながら城壁を疾駆していく姿に、市民たちも兵士たちも驚きを隠せない。
城壁歩廊から攻撃を仕掛けようとする兵士たちには、容赦なくワイバーンたちの雷撃が襲い掛かっていく。
城壁歩廊には市民が存在しなく、兵士たちだけなので、容赦なく攻撃を命じることができる。そして、そんな中、ついに彼は結界発生器へと近づくことができた。
『見えた!!そこだ!!このままいくぞ!!』
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