第133話 王都攻防戦7
エルは必死に王都内部から城壁を見上げ、ついに結界発生器を見つけた。
この王都も当然ながら他の都市と同様に城壁都市である。その上空を結界発生器によって半円状の結界で覆われている。
そして、城壁頂部の東・西・南・北の四方角の歩廊の上にそれぞれ結界発生器があるのを発見したのだ。
四つの魔術具によって結界を展開しているのなら、一角を崩せばほとんど無効化させることができるはずである。
城内にワイバーンたちが入り込まれ、市民たちも暴動を起こし始めた結果、今まで上空のワイバーンたちを狙っていた兵士たちもついに城壁都市内部の市民すら無差別に弓矢やクロスボウで狙い始めたのだ。
そして、それはまさしく火に油を注ぐ行為そのものだった。
「あいつら!こっちに攻撃を仕掛けてきやがったぞ!!」
「やっぱり兵士どもは敵なんだ!!クソどもが!!」
だが、いかにどんどんワイバーンたちが武器を運んでいるとはいえ、基本的に手持ち武器であり、飛び道具があっても扱える市民は僅か。
遥かに上から弓矢による攻撃を仕掛けられたらひとたまりもない。
(となれば……我が向かって注意を引き付けるしかないかぁ!!)
エルが動いて城壁頂部に張り付けば、彼らはこれ以上ないほど焦ってこちらに攻撃を仕掛けてくるのは間違いない。
結界発生器破壊と敵の攻撃を引き付け、被害を減らす。一石二鳥を行うとするのなら、これしかないだろう、とエルは反重力を発生させて、市内の大広間から城壁を目指して飛翔する。そのいきなりの飛翔に、城壁にいる兵士たちが仰天したのは言うまでもない。
「り、竜がこちらに向かってくるぞぉおお!!撃て!撃てぇええ!!」
兵士たちは一斉に弓矢やクロスボウを連射してくるが、竜鱗に覆われた彼の肉体に生半可な矢の攻撃など通用するはずもない。全て弾き返しながら、エルはそのまま王都内部を飛行しながら、体当たりをする勢いで城壁頂部へと突撃してくる。
その城壁に体当たりする猛烈な勢いで、城壁は揺れ、あちこちが破壊され、そこから落下していく兵士たちも存在した。
グルルル!と喉を鳴らすエルを近くで見て腰を抜かす兵士、逃げ出す兵士など様々だが、当然ながら立ち向かおうとする兵士たちも存在する。
城壁に張り付いている姿のエルならば、その鋭い爪は振るえないから、我々の有利だ!と踏んだのだろう。だが、兵士たちが体勢を立て直す前に、そんな彼らに対して数発の雷撃が襲い掛かっていった。
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