第132話 王都攻防戦6

「市民よ立ち上がれ!今立ち上がらなければ、君たちも実験材料にされるぞ!!人間であることを捨てたケダモノになってもいいのか!!

 立ち上がれ!立ち上がって戦え!!生き延びるにはそれしかないんだ!!」


 そのレジスタンスたちの煽りに、おおおお!!と市民たちは立ち上がって鎮圧を行ってきた兵士たちに対して戦いを仕掛ける。

 もちろんこれは嘘八百で単なる煽りだ。根拠といえば例の映像という状況証拠ぐらいである。(少なくともレジスタンス視点では)

 だが、その状況証拠……あの人間牧場の映像は証拠として十分すぎたと言える。

「自分たちもああなるかもしれない」「実験に使われるかもしれない」という恐怖心は、市民を戦いに誘うには十分すぎた。


「待て!落ち着け!落ち着くんだ!!お前たちはレジスタンスや侵略者に騙されているだけなんだ!!お前たちはあんな化け物の竜のいうことを聞く気なのか!」


「うるせー!!そんなこと信じられるか!!お前たちよりまだ竜に従う方がマシだ!!」


「そうだそうだ!!お前ら何か信用できるか!だったらあの映像は何なんだよ!!あんな動物のように交尾させられるんなら、戦った方がマシだ!!俺たちは竜の元に集い戦う!!人類至上派なんてクソ食らえだ!!」


 そう叫びつつ、市民たちは我先にエルの持ってきた武器を手に、自分たちが生きるための戦いを行おうとしている。

 それをデマと考えるには、あの人間牧場の映像が強烈すぎたのである。武器を持った市民やレジスタンスたちは、おおお!と歓声を上げながら兵士たちに次々と襲い掛かっていった。戦闘訓練を受けていない市民やレジスタンスたちでは、戦闘のプロである兵士たちには敵わない。だが、集団で襲い掛かれば話は別である。

 だが、これだけでは決定打にはならない。そのためには、さらなる手を打つ必要がある。


『おい!誰か結界発生器を知らないか!アレを叩き壊せばさらにワイバーンたちが入ってこれる!!』


 今のところ、防御結界はエルが開けた穴が開いているだけで、その出入口は竜一匹が入れる大きさでしかない。だが、防御結界を解けば、ティフォーネの使役竜たちが一斉に王都へと入ってこれるはずである。その要となる発生装置を破壊しなければならない。エルは内部から城壁上の円周部を見上げると……それっぽいものを発見した。

 ならば、それを破壊するだけである、とエルは行動を開始した。


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