第131話 王都攻防戦5
空間歪曲の力場を身にまとったエルは、一直線に高速で落下しながらそのまま王都の防御障壁へと激突する。
防御障壁と空間歪曲の力場は衝突しながらお互いに鬩ぎあい、魔力の火花を散らせる。だが、いかに何重もの高度が魔術師が作り上げた堅固な結界といえど、それは人間の作り上げた魔術である。
いかにまだ子供とはいえ、膨大な魔力量を持っている竜に対抗することはできない。
少しづつ少しづつ魔術式を削ぎ落していき、防御障壁自身が、ミシミシと悲鳴を上げていく。そして、しばらく均衡した後、膨大な魔力を持っている竜には耐えられず、防御障壁が砕け、そこに穴が開いてしまう形になる。
『よっしゃ!!ワイバーンたち、この穴を伝ってこい!武器の木箱を持っているワイバーン優先だ!!』
そのエルの言葉と同時に、ワイバーンたちは結界の穴を通り抜け、どんどんと王都の内部へと入り込んでいく。
それを見ながら、王都内部の兵士たちは絶望に落ち、レジスタンスたちは一斉に歓声を上げる。配信を見ている彼らは、エルはただの怪物ではなく、こちらの味方ということは知られている。そんな味方が結界を破って入り込んできたのだ。
この状況で歓声を上げないほうがどうにかしているだろう。エルは、適当な広間……。都市中央部の広間に着陸し、自らの威容を示すように大声で吠える。
『聞け!人間どもよ!我は驕れる人類至上派どもに鉄槌を下すためにやってきた存在である!!亜人や我らと肩を並べて戦う意思を持つ者たちよ!!我が元へと集え!!我と共に戦おうとする者は、この武器を与えよう!!』
その声と共に、ワイバーンたちは運んできた木箱を周囲にドスンドスンと木箱を広間へと投げ置いていく。
その衝撃によって木箱は壊され、中から大量の剣や槍、斧や盾などまともな武器が大量に飛び散ってくる。
その光景に、レジスタンスや市民たちは大歓声を上げながら次々に武器へと群がっていく。素人とはいえ、人数が大量でやる気満々の彼らが武器を手にしたらどうなるか、答えは兵士たちでも抑えられず、本格的な戦いが始まる、である。
そして、それを持ってきたのは強靭な肉体を持つ竜と彼が率いる大量のワイバーン。
これで盛り上がらないほうがどうにかしている。どんどん武器を手渡ししている市民とレジスタンスたちは、武器を手にしながら兵士たちへと立ち向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます