第120話 中央指令室での戦い4
注:教授が潰されたのは足から腕に変更しました。ご了承ください。
「ぐ……ぬ!!」
教授は潰れた腕を無理矢理引き抜き、ブチブチという嫌な音を立てながら潰れた腕を引きちぎる。それと同時に出血を止め、回復魔術をかけて腕を再生させようとする。
だが、回復魔術で血は止められたものの、いかに高レベルの魔術師でもそう簡単に腕を再生できるはずもない。教授は片腕を失ったまま、ノインの元へと向かう。
「むう………。」
ノインの体を貫いている細い金属は、大動脈を貫いてそこで止まっている。
もし引き抜いたら大量出血してしまうだろう。しかも、治癒魔術では貫かれた金属の棒までどうこうすることはできない。
それでも彼女は傷の痛みに顔をしかめながらも、腕を失った教授の心配をする。
「教授……!おのれ………!!私たちをここまで追い詰めるなんて………!!」
ギリギリと歯噛みしながら、ノインは痛みに顔を歪ませる。激しい苦痛によってただでさえ危うい彼女の精神は発狂状態になりつつあった。
何を愛して何を憎んで何を破壊すればいいのか、もう彼女の中でごちゃごちゃになりつつあるのだ。
きちんとした戦闘訓練や精神訓練、きちんとした教育などを受けていればそんなことになるはずはない。しかし、ただミストルティンを操作するために促成培養された道具である彼女には、そんなまともな教育など受けているはずもない。
「………もういい。仕事は終わりだ。ノイン。我々は役目を果たした。これまでだ。」
「果たしていません!!全然果たしていない!!私たちには使命がある!!我々人類至上派の使命を理解しない愚か者どもに鉄槌を下し!竜族を殲滅しなければならない!!そのための歩みを止めるわけにはいかないのです!!」
教授としてはここまでやるだけやったので、人類至上派への義理は果たした。
もうさっさと逃げてどこかに隠れてもいいのでは?と考えている。
ここまでごちゃごちゃにならなければ、人類至上派からの監視から逃れることはできなかったのだ。しかし、ノインが叫び返しそうになるときに、さらに上からガラガラと大量の金属の破片が降りかかってくる。
「教授!!」
ノインは教授を突き飛ばすと、彼女はその瓦礫の波に巻き込まれてしまう。
そして、ノインの肉体は大きな金属の柱によって肉体が潰されてしまう。その激痛に、ノインの口から凄まじい悲鳴があがる。ノインが巨大な柱から出ているのは、もう上半身だけだ。下半身は完全に潰されている。
「痛いよ……痛いよ……!助けて……教授……お姉ちゃん……助けてぇ……。」
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