第116話 魔術師たちの変貌
「が………がぁあああ!!」
「ひ、ひぃいいっ!!た、助けて………!!」
ミストルティン内部の魔術師たちから悲鳴が上がる。この機体内部に存在している魔術師たちから体内の魔力を根こそぎ吸収しているのだ。
魔力とは生命力と直結しており、それを吸収するということは、生命力を直接吸収されるということである。
生命力を吸収された魔術師たちは次々とミイラへと変貌していく。
普通ならこれで死亡であるが、ノインは彼らの肉体内部に内蔵されている……脳内にある魔術針を暴走させていく。
「暴走開始!魔術炉心へと変貌しろ!!」
そのノインの叫びと共に、魔術師たちはさらに絶叫する。脳内に埋め込まれていた魔術針が暴走し、魔術師たちの肉体は人間の形状から膨れ上がって醜い肉塊へと変貌していく。
ミイラとなりかけていた魔術師たちは肉塊の魔術炉心へと変貌して、さらにミストルティンに魔力を供給していく。脳内の魔術針も暴走して、巨大な脳の塊と肉の塊へと化した魔術電池へと化していったのだ。
当然、その過程で人間としての理性など失われている。発狂を通り越して完全に魂まで吸収されているのだ。もはやこれはただの生きる脳と肉塊でしかない。
そうした生きる肉塊となった魔術師を見て、エルは思わず言葉を放つ。
『グ、グロ映像~!!こんなグロを見せるんじゃない!!』
だが、その甲斐もあってか、何とかミストルティンの魔力のチャージが終わり主砲発射完了になる。なるが……機体はもうあちこち破損して火を噴いている。
この状態で主砲を放てば反動で機体が大破する可能性すらある。それでもノインは最後の一撃を叩き込もうというのだ。
「………。ノイン、お前はもう十分仕事を果たした。これ以上は無意味だ。今ならば安全に撤退できるが?」
それに対して、今まで沈黙を保ってきた教授はようやく重い口を開く。
はっきり言ってこれは最後の苦し紛れだ。これでティフォーネを倒せないだろうというのは目に見えている。まさしくやけくその行動でしかないのだ。
「教授!!何をいまさら!!ここまで来てそんな事を言っても無意味です!!やるところまでやるしかないんです!!命など惜しくない!!忌まわしい竜も!幸せそうにしている人間どもも!全部殲滅してやる!!それが私の生まれた使命だ!!」
それに対して口を開こうとした教授だが、それは中央指令室への扉を破る轟音に打ち消される。
『うぉおおおお!!我参上ッ!!我の仲間を!取り戻しにきたぞ!!』
小型化したまま扉を破ったエルは、中央指令室にいるノインたちに対して、自らの牙を向いた。
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