第115話 命を捧げよ。
連続攻撃を受けて、地上に叩きつけられたミストルティン。
そして、ティフォーネの連続攻撃は、ミストルティンに多大なダメージを与えており、機体の内部のあちこちが破損し、火を噴きながら、ノインは必死にしがみつきながら絶叫する。
「こんなことがあってたまるか!!構わない!主砲を放て!!まだまだ我々は戦える!!絶対に奴らに一矢報いるんだ!!」
「き、危険です!!機体損傷率がすでに60%を超えています!!これではすでに自己修復能力も追いつきません!!ここは撤退すべきかと!!」
「撤退!?地面に叩きつけられた状態でどう撤退するんだ!!浮き上がった状態になればまた叩き落されるぞ!!」
彼らの目の前………というかモニターには、腕組みを見ながら浮遊して冷徹にこちらを見下ろしているティフォーネの姿が存在する。
その姿は一見ただの竜人であるが、まさに彼女の言う通りエンシェントドラゴンロードであるということをその実力はありありと証明していた。
だが、ここで引くわけにはいかない。人類至上派としての誇りを投げ捨てるわけにはいかないのだ。
「構わない!!主砲発射準備!!神力充電急げ!!」
だが、そこで中央指令室にいる魔術師の一人は叫びを上げる。ミストルティン内部の魔力蓄積がみるみるうちに減少していっているのだ。
それは魔力が漏れ出たというよりも何者かに吸収されているような急激な低下っぷりだった。ミストルティンは外界の魔力を吸収してそれを神力へと変換。それを発射する武装である。
つまり燃料となる魔力が不足しては撃つことができない。これだけ連射していれば燃料となる魔力が枯渇してもおかしくはないだろう。地面に墜落したのを幸いに地脈から魔力は吸収しているが、それでも地脈の要点、レイラインではない場所では地脈の吸収率は大したものではない。
業を煮やしたノインは、思わず魔術師たちに声をかける。
「ならば、皆、命をミストルティンに捧げよ!!足りない魔力分はミストルティン内部の魔術師たちの命を吸収することで補う!!皆、エンシェントドラゴンロードを討つための尊い犠牲になれと伝えろ!!」
そのノインの言葉を聞いて、流石の魔術師たちも悲鳴を上げる。
「もうたくさんだ!!こんな狂った奴らに付き合っていられるか!!自分の命の方が大事に決まってる!!」
「逃げろ!!逃げるんだ!!何が人類至上派だ!!自分たちの命のほうが大事に決まっている!!」
そんな風に逃げ惑う魔術師たちに業を煮やしたのか、彼女は自らの魔力、弓神の血にして王家の血の力を発揮し、彼らに上位存在として命令をする。
「ミストルティンの全魔術師に告ぐ!!『逃げるな!!』『命を捧げよ!!』これは私からの絶対命令である!!」
そのノインの言葉に、身動きの取れなくなった全魔術師から悲鳴が上がった。
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