「みんな急げ！！何とか修理しろ！！」

「修理ってなんだよ！神の武器なんてロストテクノロジーどうやって修理しろっていうんだよ！！」

「悪魔だ……。白い悪魔だ！！我々がエンシェントドラゴンロードに逆らうなんて無理だったんだ！！」

　あちこちから煙を吹いたりショートしたりしているミストルティンの内部。

　その中で様々な計器盤に張り付いているのは人類至上派の魔術師たちである。

　メイン制御はノインやユリアが行っているが、彼らはミストルティンの様々な細かい制御を行っていたのである。

　だが、それらもティフォーネの攻撃によってあちこちから火を噴いたりショートしている。巨大な空中要塞がこれほどのダメージを負っているのだ。

　しかも、それを成したのはたった一人の竜人である。これほどボロボロにやられてしまっては、いかに狂信極まっている彼らの心もへし折れるというものである。

『うぉおおおお！！邪魔だどけぇえええ！！』

　その中を、小型化したエルは弾丸のように飛翔していく。この状態ではいつミストルティンが大破するかも分からない。ならばさっさとユリアを救出するのが一番である。

　そして、士気の木端微塵となった魔術師たちにそれを防ぐ気力などなかった。

　竜が内部に入り込んだと知った彼らは、尻尾を巻いて逃げ出していく。だが、それでも足止めをしようと気合の入った者たちも存在した。

「おのれ小型のケダモノごときが！！この我々が撃滅してくれる！！」

　杖を手にしながら、こちらに杖を向けて攻撃魔術を展開する魔術師たち。魔術師たちが前線に立つなどと思うが、それでも事実上の肉盾であり邪魔なことには変わりがない。

　それならば、どうするか。答えは真っすぐ突き進むだけである。

『うぉおおお！！どけぇえええ！！空間歪曲展開ッ！！』

　真正面から向かってくる炎の矢や雷撃の矢を、エルは空間歪曲による防護壁を展開し、それらを弾き返しながら突撃していく。

ティフォーネの余波すらはじき返した空間歪曲に、彼らの魔術ごときが通用するはずもない。だが、空間を歪めるということはそれだけ強力な魔力が必要になるということ。敵陣内部で魔力切れを起こしてしまったらそれこそ絶体絶命のピンチである。

真正面から突っ込んでくるエルは、敵魔術師たちに突っ込み、その衝撃で彼らを壁に叩きつける。

　本来ならばここで止めを差すがそんな余裕などあるはずもない。

エルは壁に叩きつけられた魔術師に爪を突き付けて叫ぶ。

『中枢部はどこだ！早く案内しろ！』

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