第112話 内部潜入。
「ぐぁあああああ!!」
強大な雷撃の雨の連打を受け、ミストルティンはあちこちから煙を吹きながらよろよろと空中を飛行する。
流石に神の武器。適度に痛めつけるつもりでいたが中々に頑丈であるらしい。
もう少し痛めつける必要があるか……とティフォーネは自分の片腕を竜の鱗と鉤爪のある腕に戻し、それを一気に10mほどに巨大化させる。
物理的に考えれば完全に振り回される……というか完全に不可能であるが、ティフォーネは平然とその拳を振り下ろし、ミストルティンに自らの拳を叩き込む。
殴る。殴る。殴る。
ティフォーネの拳によってミストルティンの装甲はあちこちが歪み、さらに煙が吹き上がる。
「ふざけるな!神の武器がこんなことで落ちるか!!こんな!!」
「それは昔からの遺産であって貴女自身の力ではありません。つまり……武器の力を自分の力と思い込んだ自業自得ということです!!」
さらに力を込めてミストルティンを殴りつけたティフォーネ。そして、その衝撃によって、ミストルティンは轟音を立てながら地面へと墜落して土煙を巻き上げる。
(いい感じに痛めつけていい感じに墜落させたんだから、後は何とかしなさい。)
そういうティフォーネの思念派を受け取りつつも、エルは地面に墜落したミストルティンへと取りつく。
問題は戦闘態勢に入ったミストルティン内部へと入る入口は全て閉鎖されていることだ。いかに取り付けても入口がなくて入れないのならどうしようもない。
……だが、ここはティフォーネがいい感じにミストルティンを傷つけていたのが功を奏した。
彼女が雷撃の刃で大きく傷つけた場所から内部へと侵入できそうな気配があったのである。
(ここならいける……かもしれん!!)
よいしょ、と小型化したエルは、まだバチバチと帯電している装甲の傷口内部へと無理矢理入り込んでいく。そんな中ミストルティンはゴゴゴと再び再起動を行う。
「ならばこれでもくらえ!!」
今度はミストルティンは光の矢ではなく、無数の光の矢を縦横無尽にばらまいていく。つまり、拡散メガ粒子砲といえばわかりやすいだろう。
ミストルティンの主砲は確実にティフォーネを傷つけることに成功した。
ならばそれをばらまいて空中を機動するティフォーネを撃ち落とそうとしてたのである。だが、そんなものがティフォーネに通用するはずもない。
ティフォーネは腕を元に戻すと、竜骨杖を回転してそれを盾代わりにして拡散された光の球を弾き返す。
(さて、内部に侵入できたようですね。あとは任せましたよ。せいぜい頑張りなさい。)
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