第49話 竜の正拳突き
浮遊機雷とも言える鱗の爆撃を受けたデュラハン。だが、それで終わるはずもない。
爆発を受けながらも、爆炎を突っ切ってまっすぐこちらに突っ込んでくる。
鱗の破片やら爆炎やらは、デュラハンにとって足を止める要因にはならない。
否、ここで足を止めることこそ危険だと判断しているのだろう。
爆発の中真っすぐこちらに突っ込んでくるデュラハンを見て、エルは二本脚で立ったまま、ぐっと足に力を込めて、足の爪を床にめり込ませる。
そして、指を握りこむと拳を作りながら、そのまま体をねじり、目の前に突っ込んでくるデュラハンが来た瞬間、それを一気に開放する。
―――正拳突き。
そう、エルは竜の姿のまま飛び込んでくるデュラハンに対して、正拳突きを叩き込んだのだ。その拳は真正面から突っ込んでくるデュラハンに見事に突き刺さり、カウンターアタックのように決まったデュラハンは、まるでボールのように吹き飛ばされ、大きく後部へと吹き飛ばされていく。
「―――!!」
そのカウンターアタックにも似た拳の一撃に、ベキボキと体中の骨がへし折られながら、後部へと吹き飛ばされていくデュラハン。
そして、そのデュラハンは、首無し馬と共に、自らの召喚されたストーンサークル近くにまで吹き飛ばされていく。
そのまま壁に叩きつけられてしまったデュラハンは、大きく石壁にめりこみながらも何とか生存しているようだ。
首無し馬が床に倒れながら、デュラハンも何とか剣を杖にしながらよろよろと立ち上がる。だが、ここで手加減するわけにはいかない。
《いけえええ!!止めを刺せ!!》
《ここがチャンスだぞ!!情けなどかけるな!!》
デュラハンが強敵だというのはこれまで戦ってきたのはよくわかる。
いかに弱っているとはいえ、ここで確実に叩き潰さないとどんな反撃を行ってくるか分からない。そのままエルは拳を再度デュラハンに叩き込んで、完全にデュラハンを叩き潰し、消滅させる。
それと同時に、デュラハンの首無し馬も消滅していく。それを確認して、はぁああ、とエルは大きくため息をついた。
『つ、疲れた……めっちゃ疲れた……。というかもう勘弁して……。』
ぐたり、とエルは床に四つん這いになってぐたりとなる。流石に連戦で魔力を使いまくって戦いを行い、爪を剥がさせてはさすがの竜でも疲れ果ててしまうのは当然だろう。しかも、戦闘での興奮によって忘れていた爪の痛さまで戦闘が終わったせいかまた痛みがぶり返してくる。
「り、竜様。少しお待ちください。宝物を探索してすぐに帰還しましょうね。」
しゅるしゅると小型化したエルの頭を、ユリアはよしよしと撫でながら手の部分に布を裂いて簡易的な包帯を巻かれる。
ユリアの胸に抱かれながら頭をよしよしと撫でられると少しでも爪の痛みも戦いでの疲労も少しは忘れられるのでありがたい……と思わずうとうとしてしまう。
《あああああああああ!!ユリアちゃんがぁあああああ!!》
《脳破壊されるぅううううう!!》
《寝取られは解釈違い!解釈違いです!!》
《寝てから言え。》
《まあまあ、あいつもめっちゃ頑張ったんだし、これくらいは大目に見てやろうぜ。》
ええいホンマやかましいわお前ら。こっちは疲労困憊なんだ。マジで勘弁してくれ。そんな風にうとうとしてると、レイアからの声が響き渡る。
「竜様!こちらには前と同じような巨大な魔晶石が存在します!あとは大量の魔晶石も!これならアヴリルさんなども喜んでくれるでしょう!!」
———————————————————
読んで頂きありがとうございます!
面白い、続きが気になると思いましたらお気に入りと☆☆☆お願いします!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます