第8話 脆弱高校の底力



第3セット




喜屋野高校は、露骨に、大砲にトスを上げず、他のメンバー主体の攻めに変わる。


というか大砲にトスが上がらなくなる。


「よし、加部のブロックにビビって相手高校が弱気になってるぞ」


ただし、大砲のスパイクが無いとしても、喜屋野はそれなりに強豪だ。



4-7



「大砲居なくても微妙に負けてんじゃねーか!」



それでも脆弱高校は地力で、喜屋野に勝ちきれない。



(おし、元々こんな弱いチームに大砲を使う必要なんて無かったんだ・・・このまま、すんなり勝たせてもらう)



・・・



「とりゃ!」


喜屋野のスパイクを脆弱は何とか上げる。


「返せ返せ」

「おーらい」



(ちっ、決めきれない・・・こいつら、結構、繋いでくるな・・・)




$$$




脆弱高校、3年が卒業した新チーム・・・


練習試合


その時は、新チームの事を心配して、渡辺マネージャーも顔を出す。



7-25

6-25



悲惨な点数で終了した試合

怒られそうと思いながら、渡辺先輩の前に整列すると

「・・・」

気まずい沈黙が流れる。



「バレーボールの、体を成して無い!」



そう感想を言ったのだった。


監督や部長にどれだけ檄を飛ばされようが、右から左に流して、意に介さない部員達だが、渡辺先輩に言われたのは、流石にこたえた。



その後、渡辺先輩考案のレシーブ練をひたすら繰り返す日々


まずもってレシーブ返せないと試合にならないという渡辺先輩言葉を信じて、



「あのスパイク練は?」

「そこはアドリブで!」



(えー・・・)




$$$




「バレーボールの!」

「体を成ーす!」



喜屋野のスパイクが、今度は綺麗に上がる。



「強気に来い。今度こそ俺が決める!」


セッター斎藤に部長がトスを呼ぶ。



パスッ!



トスは部長と逆へ流れる。

「俺かよ」


逆側の部員が合わせて飛んで、すとんと決まる。



「しゃああ!」

「ナイスぅ!」



「ナイス」

さっきドシャット食らった部長は、少し悔しげに賛辞を送る。



(こいつらの攻撃、うるさい奴以外、法則性が無くて、読みづらいな・・・)



脆弱高校は、部長以外まともにスパイク練習をしていないので、ぶっつけ本番であり、法則性など無い。



12-12



「おーし、並んだ!」

どろどろの泥試合だが、脆弱高校が徐々に押し返し、スコアが並ぶ。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る