第7話 物欲センサー指導



脆弱高校ベンチ




第二セットを取り返し、歓喜に沸く脆弱高校のメンバーの横で・・・



六畳四冥は、この世の終わりの様な顔で凹んでいた。



第一セット終盤で下げられた彼は、また、ベンチウォーマーの立場に逆戻りだった。



四冥の横で、ベンチに横たわるもう一人の人物が居た。お腹を抑えて苦しそうにしているこの男は四冥と同級生で、『賀地 我知也』という名前だ。


昨日食べた生牡蠣に当たったらしく、朝からずっとベンチで苦しんでいる。


(いや、病院行くか、家帰って寝てろよ)


誰もがそう思っているが、誰もツッコみすら放棄している。



「く、く、あわれだな、六畳」



我知也は、凹む四冥を嘲笑う。


「朝からずっと惨めな姿してる奴に言われたくねーよ、一応正レギュラーだろ、お前!」


我知也は、どこかの強豪中学出身で、スパイクも上手い。どうして、こんな高校に来たのか謎なくらいだ。



「『物欲センサー』という言葉がある。あのキャラが欲しい、武器が欲しいと思って、ガチャを引くと、不思議と当たる事は無い」



・・・は?



何言ってんだコイツ


四冥の反応はお構いなしに、我知也は勝手に喋り続ける。



「だが、全く無心に引くと、求めてやまないあのキャラが、当たる・・・事もある!」



(そういえば、こいつ、ガチャとかギャンブルとか大好き男だったな・・・)



「昨日の生牡蠣は確かにハズレを引いてしまった、だが、それは俺が生牡蠣に当たるのが怖いという恐怖の感情を持ってしまったが故だ!」


(普通に加熱して食べろよ)



「四冥!お前のサーブは確かに凄いが、二試合目は、『欲が出た』・・・ただそれだけの事!」



言いたいだけ言うと、我知也は再び腹が痛み出したのか、ずっと悶えている。



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