結界を切り裂き

 2日間の航海を経て、冒険者一行は魔の国へと降り立とうとしていた。


 そして全員が船から降りると早速、彼らを立ちはだかる壁があったのだ。


「あれが結界か、光でこの島の大部分を覆っているのが分かるよ」

「ああ、陸で立てるのはせいぜいこの辺り、そしてこの結界の中には……」

「魔王城があるんだよね」

「ニラダ、早速お前の出番だが準備はいいか?」


 ガンディーはニラダに準備ができているかを尋ね、ニラダはその問いかけに返答をする。


「ああ大丈夫だよ、ホープブレード、そして成長の証はもう装備してある」

「最終確認をするぞ、ホープブレードで結界を切り裂けばその瞬間瘴気が発生する、その瞬間にマジックバリアを剣とお前両方にかければお前自身もそして俺達も瘴気に巻き込まれずにすむ」

「うん、そしてそのまま剣の力で瘴気を打ち消せばみんなで城に突入だね」


 ニラダとガンディーは作戦の最終確認をしており、そこにミヨモ達も加わる。


「それで瘴気の打ち消しに失敗したら、私の光魔法で瘴気を小さくすればニラダ君へのダメージは抑えられるんだよね」

「もしニラダが瘴気に飲まれたら私の治癒魔法で回復させるわ」

「俺も速度強化スキル、それから空飛ぶ靴でニラダができる限り瘴気を受けないよう空中へ逃がすだな」

「みんな、っていうかミヨモ、ジャン、もう船酔いは大丈夫なのか?」


 ミヨモ達の話をニラダも聞き入っているとミヨモとジャンが船酔いから立ち直っている事に驚き言葉を発する。


「ティアさんが軽く治癒魔法をかけてくれたし、もう大丈夫だよ」

「そうそう、これからお前が命がけの作戦を立てるって時に寝てなんていられねえっての」

「ニラダ、作戦は命がけだけど私達がいるから自分の役割にだけあなたは集中して」

「ああ、ありがとうみんな」


 ニラダは仲間達に礼を言うと、師匠であるガンディーに作戦を実行する意思を伝える。


「じゃあ師匠やってくるよ」

「おお、頼むぞ」

「それじゃあ」


 ニラダはそのまま結界に近づくが試しに手で触れようとするも結界に弾かれてしまう。


「くっ!やっぱりダメか、よし……」


 ニラダは静かにホープブレードを抜くと、一呼吸おきながら剣を構え結界を斬る準備をする。


「ニラダ君……」

「頼むわよ」

「気負いすぎんなよ」


 次の瞬間、ニラダは結界を一気に切り裂いていく。結界は切り裂かれ消失するが、結界から魔の瘴気があふれニラダに襲い掛かろうとする。


「マジックバリア!」


 ニラダは自身、そして他の冒険者が瘴気に飲まれまいと補助魔法を自分と剣にかけ、剣で瘴気の抑え込みにかかる!果たして作戦の正否は⁉

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