果たしてから
ガンディーはニラダにニラダの母親、そして父親の事を話し、最後にニラダに確認をとる。
「もうこれでいいか?お前の親については」
「ありがとう、師匠、十分だよ」
「だったら、とっととあいつらの所に行ってやれ」
「ああ、それじゃあ、今度はクエストでね」
ニラダがギルドから立ち去っていくと、ガンディーは窓を見ながら呼びかけるように言葉を発する。
「はあ、嫌な事を思い出しちまった、この俺にとって人生で唯一の負けをな……」
ニラダの母親に思いを抱いていたガンディーにとって、他の男と既に恋仲になっていた事を自らの人生で負けと言うが、次の瞬間更にその事で思った事も話す。
「だが、お前らの子供を俺が育てた、それで分かった事がある……あいつも、お前らと同じで俺の予想を超えてやがる。補助魔法とユニークスキルだけであそこまでやるなんてよ、お前ら親子は本当に俺の人生を退屈させなかったぞ、まったく」
嘆くような言い回しでも表情がどこか穏やかで嬉しそうなガンディー、ニラダの存在は彼の人生に何かしらの光をもたらしていたのかもしれない。
そんな中、ニラダは夕食を食べる為にミヨモ達と合流し、声をかけられる。
「あ、ニラダ君、ガンディーさんとのお話は終わった?」
「ああ、終わったよ」
「そう、それじゃあそろそろみんなでご飯食べようよ」
「そうだな、作戦前の夕飯食べるか」
ニラダもテーブルに着き、パーティーメンバー全員で食事を摂る事になり、その際にミヨモが発言をする。
「ねえねえ、みんな今回は魔王復活の阻止だけどさ、もしそれが上手くいったらどうしようか?」
「どうしようかって、私は冒険者を続けるつもりだけど、まだまだ修行する事も多いしね」
「俺もだな、レアなアイテムはどこにでもあるからな」
「俺もだ、師匠も言っていたけど、魔王軍が弱体化しても必要な仕事だしね」
全員の言葉を聞いてから、ミヨモは安心するかのように言葉を発する。
「ああ、良かった、もしかしたら魔王軍を倒したら誰か冒険者辞めたりしないかなってちょっと思っていたから」
「そういうことか」
「大きな仕事だし、今回はクエスト参加だけでも十分な報酬だし、今回のクエストを機に冒険者を辞める可能性のある人の話もあったしね」
「ミヨモ、俺達はまだ冒険者を続けるし、それにまだS級パーティーにはなっていないし、それまで付き合ってもらうからな」
「ははは、それは大変だね、でもおじいちゃんやおばあちゃんになってもなれなかったらどうしようか?」
「……ま、まあ、その前にはさすがになっていると思う……」
「なんか歯切れ悪いな、でもみんなで頑張ればきっとなれるよね……多分……」
「そう言うミヨモも歯切れが悪いぞ」
クエスト前の夕食で穏やかな時間を過ごす一同であった。
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