帰ってこい
ドットは自分が兄でありニラダの師でもあるガンディーと連絡をとっていた事をニラダに気付かれ、その事に気付くかどうかを本当の最終試験としていた事を打ち明ける。
「ニラダ、本当の最終試験を突破したお前にこれを渡しておく」
「これは?」
「兄貴に頼まれて作っていたアイテムだ、兄貴、そして俺の最終試験までたどり着き、それを乗り越えられたお前なら使いこなせるだろうとな」
「ベルトのようだけど、どういう効果があるの?」
ドットがニラダに渡したのはベルトであり、ニラダに効果を聞かれて返答をする。
「これは個人にかけられた魔法の効果を引き上げる。つまりニラダ、お前の補助魔法の効果を更に引き上げるんだ」
「特に使いこなせるかどうかのようなアイテムじゃない気がするけど?」
「このアイテムは個人の能力に効果が依存する。つまりだニラダ、お前は補助魔法を使いながら戦いを経た事で相当強くなっている。そして今のお前の実力ならこのベルトの効力を最大限に発揮できる」
「最大限に発揮」
最大限に発揮するという言葉をニラダが発すると更にドットは説明を続ける。
「しかもこれはたちの悪い事に装備した時点での能力に依存しちまうんだ、つまり冒険者を始めた当初に渡してもこのベルトの力はあまり活きなかったんだ」
「そうだったのか」
「これを使って、とっとと魔王軍をぶちのめしてこい!」
「おじさん……」
「ニラダ、こんな事言っちまうとかえって叶わねえかもしれねえが言わせてくれ」
「なんだよもったいぶっちゃってさ」
突如ドットが何かを言いたそうにしているが、それをもったいぶっていると言われるもドットはその言葉を口にする。
「絶対に帰ってこい、そしたらお前と兄貴に美味いもんをたらふく食わせてやる。もちろんミヨモちゃん達にもな」
「おじさん、ああきっとみんな喜ぶよ」
「そろそろ行け!みんなお前を待ってるぞ」
「ああ、ありがとうおじさん」
ニラダはドットよりそう促されてその場を去るとドットはニラダの成長やガンディーについていろいろと話し出す。
「へっ、なんかなにもかもが兄貴の言う通りすぎてムカつくぜ、でもよニラダ、お前には確かに平和に暮らして欲しかった。だけど俺だってお前が立派に成長したのは嬉しいんだぜ、分かるよな……、独り言が多くなっちまったな、はあ、年は取りたくねえもんだな」
冒険者としての才能を見抜き、あらゆる形で成長を促していたガンディーの行動が正解であったことに複雑な思いを持ちながらもニラダの成長を喜ぶドットであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます