本当の最終試験
ホープブレード、アビジンを使用した剣を作成する事を事前に知っていたからこそ、魔の国への突入作戦が立てられたと主張するニラダの発言を聞き、ドットはその発言に対しても疑問を投げかける。
「待て、いくらアビジンを使用した剣を作れる鍛冶師がいたと俺が兄貴に話したと仮定するが、それで完成するかどうかも分からない剣を前提にした作戦を立てるのか?」
「それはあの師匠の事だからね、だけどカーリソンギルド長との作戦は綿密だったと思うし、剣が完成しなかった場合の作戦もあったとしてもおかしくはないかな」
「だけどな、ニラダ、お前の言っている事は全部推測に過ぎねえ、それで俺と兄貴が連絡を取り合っていたとするのはいささか暴論すぎるぜ」
「分かっている、だからここに来たのは最終的な答え合わせさ」
ニラダの発言をすべて推測と暴論に過ぎないというドットの発言に対し、ニラダは工房に来たのは答え合わせだと言い放つ。
「答え合わせだとどういう意味だ?」
「おじさん、おじさんはあの机で良く依頼に関する請求書や遠方からの依頼に対して文を書いていたよね」
「それがどうした?」
「おじさんは意外に几帳面で、しっかりと文の内容に沿ってグループ分けをしているんだよね」
ニラダはドットが机に様々な書類を置き、良くグループ分けをしている事を話すが、それに対してドットは発言をする。
「だから、それがどうしたんだ?間違えたからって話を逸らすなよ?」
「あの端にある紙の束はなに?」
「何?」
「どのグループにも属さない紙だよね、あれ?」
ニラダはグループに属さない紙を発見し、それに対して更に発言を続ける。
「しかもあの紙は他の紙と違って減ったり増えたりもせず、少しづつ積み重なるように増えているね、だから明らかに鍛冶とは違う紙だよね」
「そこに気付いたか、っていうかあの紙にいつから疑問を抱いていた?」
「おじさんは基本的に仕事と私的な者は混ぜないから、最初は仕事関係のやつかと思っていたけど、全然減らないからまさかって思っただけだよ」
「ニラダ、兄貴、そして俺からの
「
「ああ、お前の言うように兄貴からの文と俺の返事を重ねたものだ」
「……おじさん、その紙を処分はできなかったとしてもどこかに隠しておけば俺の発言を推測どまりにできたはずなのに、ひょっとして……」
「ああ、お前が俺と兄貴の発言、そして俺の部屋の違和感に気付くかどうかの試験だったわけだ」
ニラダが突破した本当の最終試験、その先にあるものとは?
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