ギルドに向けて

 魔王軍幹部テリソンを倒し、宴をしている中戦死したと思われたカイルが生きてニラダ達の前に現れ、カイルを救ったのが実はカイルのパーティーのリーダーであったニラダの師であるガンディーであることが発覚し、更に他のパーティーメンバーにミヨモの幼馴染のララ、そしてティアが慕う聖職者メアリアもいて、驚きが収まらない中夜のうちにガンディーたちはデデンのギルドへと向かう。


 そして翌朝ニラダ達も他の冒険者と共にデデンの帰還に向けての準備を行っていた。


「とりあえず、俺達はデデンに帰るけどよ、その間ここの防衛は兵団だけでするのか?」

「さあ、だけど後続部隊の進軍は確認されていないし、当面ハイバイへの脅威はなくなったから他の街や村に防衛戦力を回すのは妥当だと思うけどな」

「確かにね、他の地域の戦況も気になるし」

「ガンディーさん達がどんな情報をカーリソンギルド長に伝えているか、それ次第で次の私達の行動が決まるんだよね」


 ニラダ達がギルドへの帰還の為に馬車に荷物を詰め込んでいると、他の馬車でも荷物の詰め込みが完了し、アービットが冒険者に呼びかける。


「皆様、お帰りの準備は終わりましたか?これよりギルドに戻り、皆様は待機、もしくは次に予想される進軍先へと派遣されるのであらかじめご了承ください」


 アービットの発言を聞いてから、ニラダ達はまた会話の続きを再開する。


「やっぱりギルドに戻らないと次の行動は分からないようだな」

「いずれにしてもなかなか休めそうにないわね」


 ニラダ達が馬車に乗って帰還しようかというその時に兵団長ガード、そして兵士、住民が馬車に接近してきた。


「ガードさん、どうしたんですか?」

「どうしたと?貴殿らの見送りにだ我らにとっても住民にとっても貴殿らには大いに助けられたからな」

「ははは、ありがとうございます。そういえば今後この街の防衛はどうするんですか?」

「戦闘が予想されない地域に長期に兵の常駐はできんし、最低限の兵を当面残し、危機が完全に去ったのちに撤退させる方針だ」

「そうですか、まだまだ大変でしょうけど気を付けて」

「とりあえず他の街との往来は可能になったし、貴殿らも魔王軍との戦いはまだ続くであろうが武運を祈っておる」


 そう言うとガードの合図で兵は敬礼をし、冒険者達を見送った。


「皆の者、冒険者の皆々に敬礼!」


 兵は敬礼をし、住民達は各々手を振りながら、その光景をニラダ達は目にし、馬車は少しづつ動き出す。ニラダ達はその光景が見えなくなるまでハイバイの方を向き続けたのであった。

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