最終試験
カイルはガンディーのパーティーメンバーであり、自らの事は伏せさせながらもニラダ達にカイルを接触させた理由として魔王軍幹部を倒し、魔王復活を阻止するのが目的だと打ち明けた。
「あのガンディーさん、魔王軍の幹部が動き出したのはつい最近で、それまでは個別では脅威であっても組織的な脅威はなかったはずですが」
「ああ、ティアの言うように魔王軍の侵攻が公になったのはここ最近の話のはずだ、それで俺達冒険者が駆り出されて街とかを防衛する戦いになったんだ」
「魔王軍が動き出すかもという情報は国の長やカーリソンのじじいみたいなギルド長にはすでにだいぶ前から降りていてな、そこでまずはその情報の裏付けを取る必要があったんだ」
「もしかして師匠、その情報の裏付けを確かなものにする為に俺達にカイルさんを接触させたのか?」
ニラダはガンディーの発言からカイルを接触させたのは魔王軍が動き出した裏付けかと問い、それに対しガンディーが返答をする。
「まあ、半分正解だな……やっぱり、身体だけしか強くなっていないようだな」
「う、うるさい!」
「お前達が魔王軍幹部ギガングと戦闘をした事は俺の耳にも入って来てな、運もあっただろうが生き残ったお前らからギガングの情報を得ておこうと思ってな」
「それが理由の半分か、もう半分は?」
ニラダは更にもう半分を問い、ガンディーは先程までの柔和な表情から一転し、厳しい顔つきとなる。
「情報の裏どりは何もお前達だけじゃなく、世界中あちこちでしていた、それで少しづつ集めた情報を国やギルドに送っていたんだ、さっきも言ったがカイルをお前らに接触させたのは幹部を倒す為でもあるからな」
「‼そうか、俺達が剣の鍛冶の間もカイルさんがここに残っていたのは……」
「そうだ、お前らとカイルをパーティーとして組んでもらう為だ」
「ああ、君達とは臨時で最初からパーティーを組むつもりだった、もっとも事前にカーリソンギルド長には話していたがね」
「え?じゃあギルド長とのやり取りは……」
「ああ、ちょっと芝居をうたせてもらった」
「そうだったんですか、じゃあもし俺達から欠員が出ても入ってくれたんですね」
「いや、それは少し違うな」
「え?」
「ニラダ、この危機で離脱や解散が多くあった中、お前らのパーティーは誰1人欠ける事なくクエスト参加を表明した、いわばこれはカイルを通した俺の最終試験だ」
「最終試験?」
「……もし、お前のパーティーから離脱者が出ていればカイルに気絶させてでもお前のクエスト参加は阻止しただろう、だがお前は力だけじゃなく、メンバーの選出、そして何よりお前自身が命を預けるに値する奴だと他の奴が思ったから、もうお前は完全に俺の手を離れた存在だと認めた」
「師匠……」
「ニラダ、俺はお前をもうただの弟子とは思わねえ、同じ冒険者としてこの危機を乗り越える仲間だ、そう思うぞ」
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