勝ち鬨
ニラダが補助魔法で強化したホープブレードで見事テリソンを切り裂き、打ち倒す事に成功する。そしてテリソンが倒されたことで指揮官を失った魔物達は逃走を図る。
「て、テリソン様が……」
「くそ、撤退するほかあるまい」
魔物達が逃走を開始すると余力のある兵士にガードが追撃の指示を出す。
「奴らを逃がすな!可能な限り追討しろ!」
「はっ!」
魔物の追撃を部下の兵に任せたガードは街にとどまった兵、そして冒険者達に声をかける。
「テリソンを討ち果たす事で街を守る事ができた、みな!よくやってくれた!冒険者の諸君もご足労感謝いたす」
「そりゃあ、どうも、だけど一番手柄の奴はもっと褒めてやってくれよ」
「うむ、そうであるな」
冒険者に促されたガードはニラダに近づき、テリソンを討った事についてねぎらいの言葉をかける。
「ニラダ殿、貴殿の剣、補助魔法、そして何より我らの配置の進言、もしこれらがなければテリソンを倒す事ができても街の被害は多かったかもしれん、兵団長として大いに感謝いたすぞ」
「そんな……でも戦闘になってからは個々人が大いに奮闘してくれましたし、それによって街は守られたし、俺はテリソンに集中できたんですよ」
「ニラダの言う通りだな、まあ約1名は突っ走っちまったがな」
「お、俺か……」
ニラダは全員が大いに奮闘した事が勝利と街の被害を抑えた事に繋がり、その意見にジャンも同調するが1人が突っ走ったと揶揄し、その冒険者が治療を終えてティアや他の仲間と共に戻って来て、声を発する。
「おお、戻って来たのか、お前が突っ走らなければ完璧だったんだけどな」
「だってよ、メチャクチャ隙だらけだったんだぜ、まあ、油断しちまったから死にかけたけどな」
「それ見ろ、やっぱり俺の言う通りじゃねえか」
「まあまあ、ジャン、そういう時の為に私がいたじゃない」
「そうだな、おいティアに感謝しとけよ、こいつがいなけりゃああんた今頃あの世だぜ」
「分かってるって、ありがとな、助けてもらって」
「ううん、治療が私の役目だから。でもジャンの言う事も正しいと思うし、次に魔王軍の幹部と戦う時は隙があっても油断しちゃダメよ」
「ああ、そうだな」
一通りのやり取りが終わるとガードが兵達ならびに冒険者達に対して声をかける。
「まだ追撃は続いているが、この戦いは我々の勝利だ。みな!勝ち鬨を上げるぞ」
「勝ち鬨ですか?」
「うむ!私に続いてくれ!エイエイオーーー!」
「エイエイオーーー!」
勝ち鬨の声が街中に響き、避難していた住民もその声を聞き、勝利を実感した。
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