防衛体制

 いよいよテリソンと部下の魔物達がハイバイに迫っているという報告を受けた兵団長ガードは兵に指示をだし、その際に冒険者達に呼びかけ、各自が動き出す。


「じゃあ俺達はテリソンの方に戦力を集中するとして、その前に防御魔法を使える奴を住民の避難先に集めるか」

「そうだな、とりあえずちゃちゃっと伝えて行ってもらうか」


 パーティーリーダーがそれぞれ1度、自分の仲間に呼びかけに行く中ニラダもミヨモ達にも元に向かうが、先程いた場所におらず、少し探すと高台から降りてきた様子が見えた為、声をかける。


「あ、おーーい!みんな!」

「ニラダ君!聞いて、もうテリソンや他の魔物がこっちに迫っているんだって!」

「ああ、俺もそれは聞いた、だからさっきの会議で決まった作戦を伝える」


 ニラダは戦力をテリソン本隊に集中し、防御魔法を使える者は住民を守り、またティアには前線で戦う者達の治癒を一手に引き受けてもらう事を話した。


「そういうわけだ、すまないティア勝手に話を進めて」

「仕方ないわ、元々治癒魔法以外の魔法を使えない以上ね、だけど前線で戦うみんなは私が治癒するから安心して戦って」

「そうだなティアの治癒魔法があれば即死さえしなけりゃあ何度でも戦えるぜ!」

「……ねえ、みんなテリソン本隊が来るって事はカイルさんは……」


 ミヨモはテリソン本隊が来る事実はカイルがもしかしたら命を落としたのではないかと心配し、口にしそうになるがティアが制止の言葉をかかける。


「ミヨモ!まだそう決めつけるのは早いわ!」

「そうだぜ、もしかしたらうまく逃げたかもしれねえしな」

「でも……ううん、今はカイルさんの事より街の人を守らなくちゃだね」

「ああ、みんな行くぞ!」


 ニラダの呼びかけで街の西側に向かうと、冒険者や兵がそれぞれ位置取りをしており、ガードがニラダ達の接近に気付き、声をかける。


「おお、『成長しあう者達』の諸君か、君達もすぐに防衛できるよう配置についてくれ」

「この門の後ろですか?」

「ああ、敵は門を破るのに必死だろうから全戦力をここに集中し、門が破られたら一斉に攻撃という形だ」

「あれ、さっき言った作戦と違うんじゃあ?」

「門を破ったのが部下の魔物なら我らが、もしテリソン自らが破ったなら君達が一斉に攻撃を仕掛けるのだ」

「一目で見分けて攻撃なんですね」

「ああ、だが少しでもその見極めを短くするべく高台に弓兵も配置してある。必要とあらば攻撃も仕掛ける」


 いよいよ迫るテリソンに対し着々と防衛体制が整っていくのであった。

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