テリソンに対し

 テリソン本隊が迫っている事をニラダから聞いたガードは冒険者パーティーの各代表を集め、防衛対策の会議を開いていた。まずガードが現在の状況についての説明を開始した。


「現在分かっている事だが我ら兵団の調査部隊の報告によると北の道からも魔物が迫っている事、そして『成長しあう者達』の報告で西からはテリソン本隊が迫っているという2方向からの進軍が確認された」

「それから、俺が聞いたテリソン達の会話ではどうやら他の道からも部隊を進軍させているようです」

「待てよ、お前はその方向までは聞いたのか?」

「いや、そこまでは……」


 ニラダはテリソン達が他の道も使って進軍している事は聞いたが、正確な方向は聞いておらず、その情報を聞いたガードが言葉を発する。


「いずれにせよ西側のテリソン本隊が最大の脅威であるな」

「それじゃあ西側に戦力を集中させるんですかい?兵団長殿」

「テリソンを倒すという意味ではその方が得策だが、ここでは住民も抱えている。住民を守りながら戦うとなると兵団長としてその策はとれない」

「だけど、あんたも分かるだろう、テリソンってのはとんでもない力の持ち主って事は、守ってばかりじゃあ単に延命させるに過ぎないぜ」


 ガードは兵団長として住民を守る義務がある事を主張し、テリソンに戦力を集中して住民が危険にさらされる事を承知できないでいたが、他の冒険者よりそれは延命手段に過ぎないと指摘される。


「領主様に援軍は要請してある。それまで耐えきれば我らにも……」

「人間同士の戦争ならそうかもしれねえが、敵は魔王軍幹部なんだぞ、そんなぬるいやり方で勝てるとは思わねえな」

「あんたらの武器はせいぜい剣や槍だろうが俺達には魔法やスキルがある。だがそれらも魔力が尽きればつかえねんだ」

「その領主様の軍とやらが数日後にくるかもしれないが、戦い続けていると俺達の魔力を回復させるひまはないんじゃないのか」


 あくまでも魔法やスキルを活用しないと戦えないうえ、数日戦い続ければ回復が追い付かないと主張する冒険者にガードは問う。


「ならば問おう、諸君らにこの危機を乗り切る策はあるのか?」

「兵団長殿、方向に拘らず、あんたらは住民を守ってくれ、俺達がテリソンと戦う」

「何だと⁉」

「どの道、テリソンを倒さないと危機は乗り越えられないし、次の戦いもねえからな」

「しかし、それでは貴君らにばかり危険が……」

「ここに来た以上、みんな覚悟してるって、どの道奴らを倒すか死ぬまでこのクエストから降りられねえからな」

「待ってくれ!」

「何だニラダ、怖気付いたのか?」

「そうじゃない、テリソンを倒すには兵団の力も必要だ」


 ニラダが主張する策とは?

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