空飛ぶ靴

 馬車の出発直前にどうにか間に合ったミヨモとジャンはクエスト参加を認められて、馬車に乗りニラダ達と共に移動を開始する。


 合流の際にジャンに抱えられて上空まで跳び上がった影響でミヨモは放心していたが、少しづつ受け答えできるように戻り、ティアより水を渡されていた。


「大丈夫、ミヨモ?水よ飲んで」

「ゴクゴク、はあ、ありがとうティアさんどうにか気分が良くなったよ。それにしてもジャンさんいきなり抱えて跳び上がるんだからビックリして本当に言葉がなかったよ」

「悪いな、もう馬車が見えたし、ああでもしねえと間に合わねえと思ってよ」

「もう、まあ冒険者の資格がはく奪されなくて良かったけど」


 ミヨモはいきなり自分を抱えて大きく跳び上がり放心状態にさせたジャンに不満のようだが、とりあえず冒険者が続けられる事には安心していた。


「それでジャン、その空飛ぶ靴だがどういう効果か詳しく話してくれるか」

「急いでいたから、装備についての説明は受けてねえんだ」

「じゃあ、跳び上がってこっちに来たのもぶっつけ本番だったわけか?」

「まあな、だが、それでこの靴の特徴が分かったぜ」


 ジャンはドットより説明を受ける前に工房からギルドまで戻って来た為、いきなり靴の効果で跳び上がった事を明かすが、それにより分かった特徴を話し始める。


「まず空飛ぶ靴とはいったけどよ、これ自体はどうも跳躍力を上げる効果があって、空中を自由自在に動けるわけじゃないんだ」

「さすがにおじさんもそこまでの物は作れなかったか」

「だがよく考えてみろ、いくら跳躍力が上がっても、一気にあそこまで行けるわけはねえだろう、この靴は俺の速度自体も強化して、跳躍力はどちらかというと補助的なものなんだ」

「だけど、それならミヨモを抱えて飛ぶ必要はあったのか?」

「お前らは見てねえだろうけど人の動きが多くてな、速度だけ上がれば衝突しちまうし、それこそ俺はともかくミヨモや街の人が危ないだろう」

「それで跳び上がるという選択か」

「まあな、でまさかの羽根が衝撃を和らげるだ、これは俺も自信がなかったから助かったぜ」


 ジャンから一通りの説明を聞き、ニラダもその装備についての自分の考えを話す。


「そうするとドットおじさんはお前のスピード感のある戦い方に合わせてなおかつ空中の敵にも対処できるお前の希望を取り入れたんだな」

「そういう事になるな、これで場所次第じゃあ俺も魔王軍の奴にだって負けねえぜ」

「ねえ、ミヨモの杖は?」

「私は魔法の伝導率、つまり威力を高める為のものだから使用してみないと分からないかな」


 ドットの装備を手に入れ、気分が高揚してくるニラダ達、ハイバイで待ち受けている事とは?

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