高位の魔物
ハイバイの街まで馬車で移動をしているニラダ達『成長しあう者達』は馬車の中でジャンとミヨモの新装備について話しており、その話で盛り上がっているなか、カイルがニラダ達に声をかける。
「君達が強力な装備を得た事で、わずかだが我々の勝つ確率が増えたね」
「それでもわずかですか」
「ああ、魔王軍の幹部はこれ程の冒険者を動員しても勝てるかどうか分からないのだからね」
「テリソンっていう一体の魔物相手にこのパーティー数だもんな、他の奴らの事も考えると骨が折れそうだぜ」
ハイバイの街をテリソンという名の魔王軍幹部が襲う可能性がある事を考慮し、複数のパーティーで防衛にあたるうえ、他にも幹部がいる事を考えると骨が折れそうだと言い放つジャンにカイルが現状についての自分の考えを話す。
「魔王軍の幹部はこのテリソンや私や君達が遭遇したのを含め5体いるんだが、それぞれで作戦行動を行い、魔王復活を目論んでいるのだろう」
「ギルドでもその為に人々の魂を集めているって言ってましたね」
「ただ殺すだけってことじゃないのか?」
「うむ、古い書物で読んだことがあるのだが、高位の魔物は自らが命を奪った者の魂を魔力で縛り、自らの所有物とできるそうだ」
カイルの幹部クラスの魔物が命を奪った者の魂を魔力で縛り、自らの所有物とできるという話を聞き、ティアもその話にくいつく。
「その話なら私も聞いた事があります、高位の魔物は肉体と魂を切り離す事ができると」
「人の魂を所有物にするって、具体的にどうするんですか?」
「残念だがそこまでは、だがこの話から奴らがその魂を集めいけにえに捧げる事で魔王の復活を試みようとしている、そう考えるのが妥当だろうな」
「じゃあ、幹部5体を倒せば魔王は復活しねえって事か、そいつらさえ倒せば脅威はなくなるんだな」
「ああ、だがそれは一時的なものだろう」
「どういうことだ?」
「過去に何度か勇者が魔王を倒し、幹部すらも倒した。だがそれでも魔王は復活した、高位な魔物は時を経れば生まれるという事だろう」
高位な魔物は時を経れば生まれる、その発言にニラダは返答をする。
「勇者がいずれ生まれるようにですか?」
「多分ね、私の考えでは魔王と勇者が対ではなく、勇者と高位の魔物が対のように思える。あくまでその勇者が魔王を倒すほどの存在であるだけでね」
「だが今は勇者がいないし、魔王だけはなにが何でも復活させてはいけないな」
幹部クラスとなる高位な魔物、彼らは勇者がいずれ生まれるように、魔物の側の強者として生まれるのではないかとカイルは考えていた。
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