ギリギリの跳躍
ミヨモとジャンはドットの工房で装備を受け取り、すぐさまギルドへと戻って行くが、その頃ギルドでは間もなくハイバイ防衛の為に移動する馬車が到着する知らせがあり、その状況にニラダ達は困惑する。
「もう来るのか、到着したらその2台の馬車に否が応でも乗らないといけないんだな」
「もちろん一刻も早く防衛に行かなくてはいけないけど、このままじゃあミヨモ達が……」
「だが、これは我々みんなで話、リスクも考慮して受け入れた結果だ、たとえ彼らが間に合わなくとも我々はクエストに挑まなければならない」
「それはそうですが……」
カイルの言うようにはく奪リスクを考慮しながらも装備が必要と判断した結果の行動であり、ニラダも理解はしているが、やはり共に戦ってきたミヨモとジャンがこういった形で冒険者資格を失っていいのかと考えていた。
そうなってしまえばたとえ、今回のクエストを達成しても2度と彼らとパーティーを組むことはかなわないのだ。
「ハイバイ防衛に割り振られた皆様、馬車が到着しましたので、パーティー名を呼ばれたら馬車にお乗りください」
ギルド職員より馬車が到着した事を告げられるがまだミヨモとジャンは到着していない。
「ミヨモ、ジャン……」
「……2人が冒険者じゃなくなるなんて……」
「……」
順番にパーティー名が呼ばれ、いよいよニラダ達のパーティー名が呼ばれる。
「続けて、『成長しあう者達』の皆様、馬車へとお乗りください」
「俺達が……」
「ミヨモ、ジャン、私達は行かなくてはいけないわ、ごめんなさい」
「君が謝る事じゃない、さあ名残惜しいが私達まで資格はく奪になるわけにはいかない」
ニラダ達は意を決し馬車に乗ろうとするがその時にどこからともなく声が聞こえた。
「ちょっと待ったーーーー!」
ジャンの声が聞こえたニラダ達はあたりを見渡すが、姿が見えず、カイルが空を指さしニラダに声をかける。
「ニラダ君、あれを!」
カイルの指さした方向を目にするとジャンがミヨモを抱えながら上空より落下したと思ったが、見事に着地に成功する。
「ジャン!ミヨモ!」
「ふう、おいギルドのねえちゃん、俺達は間に合ったのか?」
「え、ええ、出発直前でしたので……」
「よかった、待たせたなみんな」
「ジャン、間に合ったのはいいけど、どうして空から……」
「この空飛ぶ靴だな、跳躍力が上がって着地する時も羽が衝撃を和らげるんだ」
「ね、ねえ、ミヨモはどうしたの?これ……」
「へへへ……はははは……」
「咄嗟に飛び上がったからいろいろ混乱してんだろう、まあすぐに戻るだろうから安心してくれ」
「安心してくれって……」
とりあえずミヨモを介抱しつつニラダ達は馬車に乗り込み、ハイバイの街を目指す事になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます