加入の理由

 Aランク冒険者のカイルが今回の超緊急クエストに限り、ニラダ達のパーティー『成長しあう者達』に加入する事を希望し、ニラダ達はとても心強く感じており、ニラダはカイルに改めて礼の言葉を言う。


「カイルさん、改めて本当にありがとうございます。カイルさん程の冒険者が加わってくれたら俺達も心強いです」

「ニラダ君、いくら私がAランク、いや今のSランク冒険者でも単騎で組織的に動き出した魔王軍を倒すのは難しいだろうし、パーティーへの加入は必須だ」

「あの、ちょっといいですか?」

「何だいミヨモ君?」


 ニラダとカイルが話をしている中、ミヨモがカイルに声をかけるとカイルは尋ね返し、ミヨモは自分が感じた疑問をぶつける。


「どうしてその私達のパーティーだったんですか?確かにニラダ君は私達にとっていいリーダーですし、とても強くて頼りになるとは思うんですが、まだ冒険者になって日の浅い私達と組むのがちょっと信じられなくて」

「さっき、いくつかのパーティーが解散や一部メンバーの離脱があっただろう、彼らも何年も苦楽を共にしてきたはずなのに、ここに来ての分断だ」

「でもそれはこれだけ大きなクエストで達成するか死ぬまで離脱できないし、いろいろ事情もありそうな人もいたようですし」

「だがそれは君達とて同じはずだ」


 ミヨモは生死がかかっている事、そして個人的な事情もあるだろうから離脱や解散もおこりうると話すが、すかさずカイルより自分達も同様なのではと指摘があり、すぐにミヨモが尋ね返す。


「?どういうことですか?」

「以前魔王軍の幹部についての情報交換を約束してから少し君達の事を調べさせてもらった、念の為ではあるがな」

「私達の事をですか……」

「ああ、ニラダ君、君は師匠であるSランク冒険者のガンディー氏と会うのが目的だったね」

「はい、まさかそんな事を……」

「ミヨモ君、君はAランク冒険者の幼馴染ララ氏と会う為に冒険者になったんだね」

「え⁉ララちゃん、Aランクまで上がっていたんですか?」

「ティア君、君は聖職者としての修行、そして孤児院に薬草等を送る為に……」

「私の事まで……」

「ジャン君、君は盗賊ギルドにも所属しているし、いざとなったら冒険者をいつでも辞める事は可能のはずだ」

「……」

「すまないね、だけどまだあの時に君達の事を完全に信頼したわけではなかったから、信頼に足るかどうかを調べさせてもらったんだ」

「そうですか。それでカイルさん、どう思ったんですか?」

「それは……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る