冒険者、リーダーの器
『成長しあう者達』の面々は全員の意志が統一され、超緊急クエスト「魔王軍幹部討伐」に挑む事を決意する。そしてその様子を見ていたカイルがニラダ達に声をかける。
「君達も全員このクエストに参加するんだな」
「カイルさん、はい!俺達も魔王軍の幹部と戦います」
「私は元々、ソロ活動ではあったが、このクエストは君達と共に行動したいと思っているがいいか?」
「俺達は構わないですが、そもそもこれってどういう事をするんですか?」
ニラダがこのクエストの動きについての疑問を感じていると、カーリソンギルド長からの説明が始まる。
「続けて今後の諸君らの動きだが、ここで我らが動きを掴んでいる幹部について話しておこう」
カーリソンがそう言うとギルド職員より資料を渡されてその資料を読みあげる。
「我らが動きを掴んでいるのはヴァンパイアロードにテリソンという魔物だ、ビスク領内の街を襲撃する計画がある事を掴んでいる、だがどの街を襲撃するかまではつかめておらんので、こちらで参加パーティーを防衛に割り振る、指定された街に向かうのだ」
カーリソンギルド長の発言を聞いてカイルが挙手をしてギルド長に呼びかける。
「ギルド長、よろしいでしょうか?」
「お前は確か、Aランク冒険者のカイルであったな、方針に対しての意見があるのか?」
「いえ、その判断は適切とは思います。ですが現状自分はソロ活動なので『成長しあう者達』とこのクエストのみパーティーメンバーとして行動させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「なるほどな、それは『成長しあう者達』のリーダーが決める事だが、どうだニラダ?」
「え?じ、自分達に事前に打診があったので、自分達としては問題ありません」
「……良かろう、本来ならAランクのカイルがCランクのパーティへの加入は禁じているが、このクエストのみ許可する」
「ありがとうございます!」
「しかしAランク冒険者がまさか自らそのような事を言いだすとはな」
「ギルド長、ニラダ氏はリーダーとしても、そして冒険者としての器も優れていると自分は思います、だから抵抗はまったくありません」
「ふっ、そうか。では各パーティーに向かってもらう街と村の名前ならびに地図を配布するからその場で待機せよ!」
防衛対象の街並びに村の名前と地図を配布すると言われ配布される間にニラダがカイルに声をかける。
「あ、あのカイルさん褒めてくれるのは嬉しいんですけど、なんか恥ずかしいです……」
「ははは、すまないね、だがニラダ君、私は君の力、そして彼らとの信頼関係にかける事にしたよ」
カイルが感じたニラダの器、その片鱗を見せる時がきたのだ。
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