剣とアビジンの加工
カール、そしてニラダの発言により遂に折れたゲンはカールによるニラダの剣づくりを許可する。
「さあ、ニラダさん、剣とアビジンを僕に預けてください」
「はい、お願いします」
ニラダが自分の剣とアビジンをカールに渡すとその様子にミヨモが感激していた。
「良かった、やっと剣を作る事ができて……」
「感激するのはまだ早いわよミヨモ、どうにかして剣が完成してくれないと」
「おお、あとはカールにかかっているからな」
「うん、でも少しはゲンさんにニラダ君とカールさんの気持ちが伝わったのも嬉しいから」
剣とアビジンを見てカールはニラダにある事を告げる。
「ニラダさん、この剣は1度破壊して修復過程でアビジンを加える加工をする事になります」
「そうすると失敗したら剣は戻らないのか……仕方ない、お任せします」
「はい!」
ニラダの言葉を受けてカールはニラダの剣をハンマーで砕き、破壊する。
「あ!ニラダの剣が破壊されちまった!」
「仕方ないわ、剣にアビジンを加える加工はこっちがお願いしたもの」
「ニラダ君、カールさん……」
その後カールはバラバラになった剣の破片とアビジンを混ぜ合わせまた別の素材も用意していた。
「カールさん、それは?」
「この金属、それから特殊な薬品を塗らないと元の剣にアビジンはしっかりとなじまないんですよ」
「そうなんですね」
「さあ、ここから打ち込みや火入れがあるので、あとは静かに見届けてください」
そこからカールの剣への打ち込みが始まり、火床に剣を入れ、それらを何度も数刻繰り返し、そして1度ニラダ達に告げる。
「また明日ここにお越しください、明日の昼頃にはうまくいけば剣を渡せると思います」
「分かりました、それじゃあ一旦失礼します」
そう言ってニラダは仲間達と共に一旦工房をあとにし、再度宿に戻って行く。
「すごかったねカールさん、本当に鍛冶師って感じだよ」
「まあ、見習いとはいえ鍛冶師なんだけどね」
「俺も鍛冶は素人だが、ありゃあ職人の目をしていたぜ、本当にこの工房を独立してもやっていけそうだぜ」
「……」
ミヨモ達がいろいろ話す中、ニラダは無言を通しており気になったミヨモがニラダに尋ねる。
「ニラダ君、どうしたの?さっきから全然しゃべっていないけど?」
「ミヨモ、ああ目の前でカールさんの鍛冶を見ていたら、あの人から師匠よりいいものを作ろうというものすごい気迫を感じたな」
「それで言葉が出てこないの」
「俺は師匠と違って補助魔法しか使えなかったし、Sランクになっても師匠並みの魔法使いになれるのかなって思ったな」
カールの気迫を感じる事で改めてニラダは自身と師の差を感じざるを得ないでいたのだ。
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