カールの武器作り

 ゲンの自らにはカール達が引き継ぐような志はないと言い放ち、カールはゲンの工房を出ていく事を宣言するが、その前に自らの武器作りを見届けて欲しいと言い放つ。


「何だって!その武器作りってのはまさか……」

「はい、ニラダさんの剣にアビジンを加える事です、せめてそれを見届けてください」

「カール!何でお前はそこまでこいつらの為にやるんだ!」


 ゲンの言葉を受け、ニラダもカールとゲンの話に口を挟む。


「俺達の為だけじゃありません!」

「小僧……」

「ニラダさん……」


 ニラダがゲンとカールの会話に加わる事でまたゲンより罵倒さるのではと心配になったミヨモは声をかけようとするがティアに制止される。


「ニラダ君……」

「待ってミヨモ、ここはニラダにも任せましょう」

「でもまた……」

「一度は退いたあいつがこの場で声を出したんだ、きっと今度は軽い言葉じゃねえはずだ」

「ニラダ君……」


 ティアやジャンの言葉を聞いてミヨモもニラダの事を見守る事を決めたのだ。


「カールさんが剣を作るのは俺達だけの為じゃなく、あなたの失った志を引き継ぐため、そして自分の成長をあなたに見せる為です」

「今度はてめえか、失った志とはいうが、さっきから俺は言っているだろう、そんなもの最初から持ち合わせちゃあいねえって!」

「本当にそうですか?お父さんやドットおじさんとぶつかったのは少なからず自分の鍛冶にも自信があったからなのでは?」

「……俺はとにかく強い武器を作っておけばどんな奴でも戦える、そう思っていたが、親父は細かく色々冒険者に合わせるように注文を受けていた、そんなちまちましたやり方は結局冒険者を待たせるだけだと思っていた」

「だけど、勇者の剣を鍛冶人生をかけて作った、そしてそれを売られたことで心が折れてしまったんですね」

「……おめえの言う通りだ、かなうわけねえのにあいつを殴ったのもなかばヤケだ、その時あいつに殴り返されたことで自分の中であきらめる理由を作っちまったな」

「だから親方、僕の武器作りを見ても、それでも志なんてなかったなんて言うなら本当に僕はこの工房を出ていきます」

「お前を鍛えた義務代わりに武器作りだけは見届けてやらあ、とっととその小僧の剣を作ってやれ」


 ニラダ、そしてカールの言葉に遂に折れたのかゲンはカールに武器作りを認め、逆にカールから質問をされる。


「ほ、本当にいいんですか⁉」

「俺がいいって言ってんだから早くしろ!俺の気が変わんねえうちにな!」

「は、はい!」


 カールの剣づくりを認めたゲン、果たして無事完成するのか!

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