報復の末路
勇者の剣を冒険者の依頼で作ったゲンであったが、その冒険者に売り払われ、問い詰めるが、暴言を吐かれ、怒りが頂点に達したゲンはその冒険者を殴り、殴られたことで冒険者は怒りをあらわにする。
「てめえ何しやがる!」
「た、大した腕もねえのはお前の方だろう!勇者の剣を依頼しておきながらそれを満足に扱えないんだからよ」
「この野郎、所詮てめえはご先祖様や親父ほどの腕がねえだけだろう、この俺にあった剣を作れなかったからな」
「何だと!ぐはっ!」
冒険者の暴言に対し再度殴りかかろうとしたが逆に左手で冒険者に腹を殴られ、その場にうずくまり、今度は冒険者に顔を殴られる。
「言っとくが最初に手を出したのはあんたなんだぞ!この俺に手を出しておいてそれで済むと思うなよ!」
更に殴りかかろうとするが、その場にいたカールを含むゲンの弟子たちがその冒険者に一斉に飛びつき、制止した。
「てめえら離しやがれ!この野郎は少し痛い目をみさせてやる!」
「やめろ!親方になんてことすんだ!」
弟子の一人がそう言うとその弟子の腹を冒険者は殴り、更に飛びついてきた弟子を数名投げ飛ばす。
「右手が思うように動かなくてもお前らごときにゃあ俺は止められねえ、このオヤジだけはボコボコにしねえと気がすまねえ!」
一連の話をカールに聞かされて思わずミヨモから言葉が漏れる。
「ひどい……」
「だけどよミヨモ、ゲンの旦那が先に手を出しちまったから、その冒険者はブチギレちまったんだぞ」
「もちろん先に手を出したゲンさんは悪いよ、でもその人は仕返しにしても度を越えていると思う」
「私もそう思うわ。彼は冒険者、しかも前衛で肉弾戦を得意とするタイプ、一般人を遥かに凌駕している力を有していながらそれを一般人に向けるのは言語道断だわ」
「確かにそれはやりすぎだが……」
先に手を出した事がきっかけと主張するジャンに対し、ミヨモやティアは冒険者の過剰報復だと主張し、ジャンも言葉を収めると、カールがその後について話し始める。
「もちろん、僕だって手を出した親方を擁護する気はありません。ですが騒ぎが大きくなり、ギルドにその冒険者の行為が通報されて冒険者には処分がくだされました」
「それでどうなったんですか?」
「冒険者の資格ははく奪され、他のギルドでも冒険者登録ができないように処分が下されました、そしてそれから2年経ったある日強盗殺人で投獄されました」
「……一時はAランクまで登りつめた冒険者にとっては最悪の末路ですね」
勇者の剣、そしてゲンへの暴行で全てを失った冒険者、その存在を認識したニラダ、そしてその後ゲンも武器作りを止めてしまった事実を重く受け止めたのだった。
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