生命の光
補助魔法の重ね掛けにより強力な力を一時的に生み出す事でニラダはギガングに対し大きなダメージを与える事に成功するが、重ね掛けの反動でニラダの肉体にも大きなダメージがあり、ジャンの背中に担がれ、ミヨモ達と一緒にクロスマウンテンの脱出に成功する。
ニラダ達がクロスマウンテンを脱出した頃、ニラダの拳により吹き飛んだギガングは立ち上がったもののニラダ達の姿を見失っていた。
「ぬうう……不意打ちとはいえ、これほどのダメージを受けるとは……仕方あるまい」
ギガングは指を鳴らし、生き残ったガーゴイルを呼び、命令を下す。
「当面、この山を離れる。今他の冒険者が来れば、私といえどやられかねん」
「キキッ!」
「治療が終わるまで龍の葉は好きなだけとらせてやろう、その後は渡さぬがな」
ギガングはそう言うとガーゴイルに抱えられて共に空中に上昇し、クロスマウンテンを離れる。その際に空中でニラダについて呟く。
「冒険者ニラダか……、いずれ大きな脅威となるやもしれんな」
ニラダが大きな脅威となる事を予感するが、今は治療の為にできるだけ遠くへ離れる事を試みるギガングであった。
ギガングがクロスマウンテンから離れたころに、ニラダを抱えながらミヨモ達はクロスマウンテンのふもとにあるドイドイの村まで到着し、早速、泊まっていた宿に戻り、ニラダをベッドで寝かせると、ティアが治癒魔法をかける事を告げる。
「急いでニラダに治癒魔法をかけなくちゃだけど、状態が危険だし、高位の魔法を使うわ」
「魔力は、ティアさんの魔力は大丈夫?」
「さっきのクエストではあまり使っていないし、大丈夫だけど、1回で治らなければ……」
「そんな……」
「でもやるしかない、あとはニラダの生命力にかけるわ」
ティアがニラダにかけようとする治癒魔法は魔力消費量が大きく、1回しか使用できないとの事だが、それでも1回にかける決意を見せ、ニラダに治癒魔法をかける為に呪文の詠唱を始める。
「我に宿りし聖なる力よ、彼の者の生命の力を高め、肉体を修復し給へ!
ティアの手よりとんでもなく眩い光が放たれて、ミヨモ達も目を覆うが、その大きな光はニラダを包み、ニラダの肉体に受けたダメージを軽減していく。
そして光が消えるとティアも息を切らしてしまう。
「はあ、はあ……」
「おい、大丈夫かティア!」
「私は大丈夫よ、それよりニラダは?」
ティアに促されてミヨモがニラダに近づくとニラダの息遣いを聞いてティアに告げる。
「ええっと、ニラダ君寝ているみたいだけど……」
「それならとりあえず一命は取り留めたわね、また明日様子を見ましょう」
「うん……良かった……」
どうにか一命を取り留めたニラダに仲間達は安堵するのであった。
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