重ね掛け
現時点でギガングを倒す事は不可能であることを理解しつつもニラダはクロスマウンテンからは脱出する方法があると言い放つがそのニラダの言葉にギガングは嘲笑う。
「脱出方法だと?フハハハハハ!そのような事、この私を倒す以外には不可能だ」
「いや、ある」
「まさか、貴様1人で時間を稼ぐという方法を取り、他の仲間だけでも逃がすという算段か?」
ギガングはニラダの自信満々な表情から1人で時間を稼ぎ、他の仲間を逃がすつもりかという予測を言い放ち、それを聞いたミヨモ達はニラダに呼びかける。
「ダメだよ!ニラダ君、みんなで脱出しないと意味ないよ」
「あなただけ残して見捨てるわけにはいかないわ、私達も何かやってみるから!」
「カッコつけんな!俺だってあいつの目くらましをやってみせる!」
仲間達がニラダに1人での時間稼ぎを止めるよう懇願する声が聞こえる中、ニラダは自分の剣を鞘にしまい、ギガング、そしてミヨモ達も驚かせる。
「何⁉貴様、どういうつもりだ?」
「ニラダ君、どうして剣を……」
「ニラダ……何をするつもりなの?」
「おい見ろ!ニラダの奴構えが……」
剣を鞘に納めたニラダは腰を落とし、拳法の構えを取り、呪文を唱える。
「フォースアップ!」
何とニラダはまだ補助魔法の効果がかかっている状態にも関わらず、補助魔法を重ね掛けする、そしてその様子には敵であるギガングですら驚きを隠せないでいた。
「バカな……補助魔法の重ね掛けは必要以上に肉体に負荷をかけるのだぞ、貴様正気か!」
「ニラダ君ーーーーー!」
補助魔法の重ね掛け、それは一時的に限界を超えた肉体に更なる強化を促す為、肉体にかかる負荷は尋常ではないのだ、それにも関わらずニラダは補助魔法を使ったため、ギガングもニラダの行動を疑ったのだ。
しかし、次の瞬間ニラダの拳はギガングの腹部に完全に入り、鎧越しでもダメージは大きく、ギガングは後方に吹き飛び、ニラダはその場に倒れこむ!
「ニラダ君ーーーーー!」
「ジャン、急いでニラダを担いで!ギガングが追ってくる前に山から脱出しましょう!」
「おお、ニラダ捕まれ、息遣いが荒いな、死ぬなよ……」
倒れたニラダを背中に担いで、ジャンは走り、それにミヨモとティアは続いて走っていく。
「ティアさん!ニラダ君は、ニラダ君は死なないよね!」
「ミヨモ!おしゃべりしている暇があったら村まで走って!そこまで逃げないとニラダの治療をする暇はないわ!」
「うん……ニラダ君……」
身体に大きなダメージを受けたニラダを担いでミヨモ達は一路、ふもとの村へと向かっていく!果たしてニラダの運命は?そしてギガングの生死は?
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