　ニラダ達『成長しあう者達』はSランクを目指す為に目の前のクエストを1つづつこなしておりカーリソンギルド長との面談から1週間が経っていた。

「今週の成果はこんな感じか、まあいいんじゃねえのか」

「うん、余分なアイテムも売れば報酬と合わせるとかなりの額にもなるしね」

「薬草も多く手に入ったし、孤児院の子達に十分届けられそうね」

「そうだな、しかしこの間の食料運搬以来大きなクエストを受けていないしそろそろ受けてみるか？」

　全員が今週の成果に満足している中、ニラダはそろそろ大きなクエストを受けた方が良いのではと主張し、他の仲間も返答をする。

「って事はまた街から離れるのか？」

「そうするとクエスト次第だけど十分な準備が必要ね」

「じゃあ私クエストのリストをもらってくるからみんなで話し合いましょう」

「ああ、頼む」

　ニラダはクエストのリストをもらってくると言ったミヨモに声をかけ、ミヨモが受付にリストをもらいに行っている間にティアがニラダに声をかける。

「ニラダ、今の私達はまだCランクだからこうやって細かく稼ぐことはできるけど、このクエストはランクアップには大した影響がないのよね」

「ああ、早さを重視するなら高難度、高報酬のクエストに挑む、もしくは……」

「何だまだ他にも早めにランクを上げる方法があるのか？」

「ああ、魔王の魔力を帯びた魔物を倒す事だ」

　魔王という単語に疑問が浮かんだジャンはニラダに尋ねる。

「おい、ちょっと待ってくれ！確か魔王っていうのは昔勇者が倒したんじゃないのか」

「確かにそう言われているが、この数十年の魔物の大量発生で冒険者稼業が再び盛んにもなってきている、そしてそうなった原因が冒険者の間でも噂になっている説があるんだ」

「噂だと？」

「まず1つ目の説は新たな魔王が誕生した事だ」

「魔王ってのはそんな簡単に生まれるもんなのか」

　ジャンは魔王がそう簡単に生まれる事に納得していないようだが、ティアがその話に加わり説明を行う。

「魔王っていうのは魔物を統べる王の事をさしていて、強力な魔力で魔物を従え、更にその魔力を帯びた魔物が野生の魔物を凶暴化させているのよ」

「じゃあ普段俺達が戦っている魔物はその凶暴化した魔物なんだな」

「そうね、それでジャンが抱いた疑問だけど、魔王が誕生する仕組みとかは未だにわかっていないんだけど、魔王が古より討伐されて時を経ると新たな魔王が誕生しているという歴史的な事実がある事だけは確かなの」

「時を経て誕生ね……おっかねえな」

　魔王の存在の可能性、その事にジャンは戦慄するほかなかった。

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