地に足を

 ティアとジャンには別の稼ぎ口がある事を聞いて、ニラダは自分とミヨモもなにか別の稼ぎ口いわゆる副業を確保して高ランクになった時に低ランクの安い報酬のクエストが受けられなくて、収入確保が難しい状況を緩和すべきと考えるが、その状況にジャンとティアは不安を覚えていた。


「ミヨモ、ミヨモは魔法のアクセサリー屋さんをしたかったんだな」

「うん、でもまだそんなに集められていないし、私が装備する分で精いっぱいだよ」

「いくつかは売ってパーティーの資金に充てたよな」

「それは仕方ないよ、また余裕ができてから集めるから。それでニラダ君は何かしたい事あるの?」


 ミヨモは元々自分がいつかやってみたかった魔法のアクセサリー屋をしようと考えたが現在売る分のアクセサリーはなく、現状ではこの商売を断念する事にした。


「俺か、俺はそう言われると冒険者以外したい事か……考えた事もなかったな」

「そうなの?」

「ああ、ずっと師匠に鍛えられていたし、他にしたい事を考える余裕もなかったな。だからさ、何がしたいかって考えると分からないな、でもやっぱり……」


 冒険者になる為の修行以外ほとんどしてこなかったニラダにとって他の仕事は考える余地もなかったという、だが副業はやはり必要なのではと考えるが、その時にティアが声をかける。


「ねえ、ニラダ、今それを無理に考えなくてもいいんじゃない」

「ティア」

「だってお師匠さんはニラダに立派な冒険者になってもらう為に鍛えたんでしょう、今他の仕事を考えなくても良い気はするわ」

「だけどさ……」


 ニラダが副業について考えているところに、ティアが声をかけ、まだ悩むニラダに対して次にジャンが声をかける。


「ニラダ、そこを心配する前にさランクがどうしたら上がるかを考えた方がいいと思うぜ、それにお宝探索トレジャーサーチで集めたアイテムを売る話もしたばっかりじゃないか」

「それはそうだけど……」

「ねえニラダ、私やジャンが冒険者とは別でも仕事をしていて、ミヨモにも将来やりたい事はあるけど、今、ニラダにそれがなかったら、冒険者をやっていろんな所に行きながら見つけるのもいいんじゃない?」

「うん、私もそう思う、ニラダ君はまずお師匠さんに会わなくちゃだよ」

「そうだな、この短期間にいろんな事を聞いて焦っていたかもしれない、また地道にクエストをこなしていこう」


 多くの情報で判断が狂っていた事を認識し、改めて冒険者として地に足を付ける事をニラダは宣言する。

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